東京都が26日発表した2018年度予算案は少子高齢化への備えを前面に押し出した。福祉・保健分野は1兆2048億円と過去最大を更新する。小池百合子知事が「喫緊の課題」と位置づける高齢化対策には17年度比134億円増の868億円を計上。待機児童対策には過去最大だった17年度を約200億円上回る1576億円を充てる。
 小池知事は同日の記者会見で「東京の人口は25年をピークに減少する。一方で高齢者の割合は増えていく。今こそが踏ん張りどころだ」と指摘。「真に都民の利益にかなう予算案を練り上げた」と強調した。
 一般会計総額は920億円増の7兆460億円と、2年ぶりに7兆円台に乗った。歳入では好調な企業業績を背景に税収は1421億円増の5兆2332億円を見込む。都債発行額は3年連続で減らして2107億円。
 歳出は20年の東京五輪パラリンピックの準備の本格化などで政策的経費が5兆1822億円と1387億円増える。小池知事は「将来を見据えて財政の健全性を堅持しつつ、都政に課せられた課題を着実に果たしていく予算」と説明した。
 高齢化対策では社会福祉法人や市区町村を対象にした特別養護老人ホームの整備費補助を125億円から249億円に倍増。認知症高齢者が安心して暮らせる支援体制の構築には新たに2億円を振り向ける。介護事業者が若手常勤職員の奨学金返済で手当てを支給する場合の経費補助も始める。600人規模を想定し、1億円を盛り込んだ。
 「高齢者の活躍の場づくり」(小池知事)も進める。「100歳大学」と銘打ち、首都大学東京に高齢者向けコースを創設する費用として2億円を充当。高齢者の就業支援も新規事業として5億円を投じる。高齢者の生きがいづくりなどに取り組む市区町村を支援する新規のセカンドライフ応援事業は4億円を確保した。
 小池知事が就任以来、最重要視する待機児童対策も大幅に拡充。保育の現場を担う市区町村向け支援事業は150億円から240億円に増やした。育児休業終了後から子供を保育所に預けられるようになるまでの間などを対象にしたベビーシッター利用料の補助(50億円)も創設する。
 環境対応では「環境先進都市」を目指す取り組みに160億円増の887億円を盛った。公用車の電気自動車(EV)への切り替えなどを進める。鉄道が密集する東京の特性も生かし、駅舎に太陽光パネルなどを設置する事業者への補助(3億円)も導入する。
 防災では小池知事の肝煎りの無電柱化関連経費を259億円から288億円に増額。住宅の耐震化では7億円を新たに確保し、従来は支援対象外だった地域での助成に乗り出す。

本記事では、東京都における予算編成の取組を紹介。
同都では、2018年1月26日に「2018年度」の「予算案」*1を公表。「予算規模」は、2017年度から「1.3%増」となり「7兆460億円」、「歳入」のうち、「自主性を高める」「自主財源であり一般財源である」*2「都税」は、2017年度からは「2.8%増の5兆2,332億円」*3が見込まれている。今後の審議状況は、要観察。

*1:東京都HP(都政情報報道発表これまでの報道発表 報道発表/平成29(2018)年 1月)「平成30年度(2018年度)東京都予算案の概要」(2018年01月26日 財務局)

*2:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣、2017年)81頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

*3:東京都HP(都政情報報道発表これまでの報道発表 報道発表/平成29(2018)年 1月平成30年度(2018年度)東京都予算案の概要)「財政規模」6頁