東京都杉並区は6日、2018年4月1日時点で保育所の待機児童ゼロを達成したと発表した。17年4月に比べ保育定員を約1400人増やし、17年に29人だった待機児童を解消した。都市部は施設の用地確保が難しいが、この数年進めてきた公園など区有地の活用が奏功した。東京23区の人口50万人以上の自治体でゼロになったのは、待機児童が社会問題になって初めて。
 住宅地が比較的多い人口約57万5千人の杉並区は、子育て世代の流入が目立つ。13年には、保育所に入りたくても入れない待機児童が285人にのぼるなど、深刻な行政課題となっていた。区は16年、従来の計画では待機児童が17年4月に500人を超すとの予測を公表し、追加の緊急対策に着手。まず16年度に保育定員を約2300人増やしていた。
 23区では異例の規模となった定員増は、区立の公園や学校などの土地を転用する苦肉の策のうえに実現した。子どもの声による生活環境の悪化や、憩いの場が減ることを懸念した一部の住民からは反発も起きた。区は「大都市での生活や社会保障は譲り合いがないと成り立たない」(田中良区長)と、住民に理解を求めてきた。
 受け皿の大幅な拡大に伴い、保育の質の確保も重要な課題となる。区は保育所の園長経験者からなるチームが抜き打ちで施設を訪問する安全対策を実施。保育士の配置が基準を下回っていないかなどをチェックしている。保育士の人材確保へ商品券の支給など処遇改善も進める。
 ゼロを達成した別の要因としては、保育所の申込件数がやや減った側面もありそうだ。日本経済新聞の調査によると、杉並区では18年4月入所の認可保育施設の一時申し込み状況が前年に比べ約8%減った。ただ、自宅の近くなど希望がかなわなかった保護者も多いとみられ、いわゆる「保活」が厳しい状況は続いている。
 23区では、豊島区(人口約29万7千人)が17〜18年と2年連続で、4月時点の待機児童解消を達成している。千代田区(約6万1千人)は14〜17年の4年連続でゼロ(4月時点)だった。

本記事では、杉並区における待機児童解消対策の取組を紹介。
同区では、「(新)国基準」では、2018年「4月1日現在の待機児童数」が「ゼロ」*1を実現。「認可保育所・小規模保育事業等の整備」とともに、「行政の役割」の一つとなる「マッチング」*2として「申込者の状況に合わせた」「未内定者」への「空きのある認可外保育施設の個別紹介など」の「結果」*3であった模様。今後の推移は、要観察。

*1:杉並区HP(くらしのガイド:子育て待機児童解消対策)「「待機児童ゼロ」を実現しました

*2:NHKスペシャル取材班『健康格差』(講談社、2017年)141頁

*3:前掲注1・杉並区(「待機児童ゼロ」を実現しました)