川崎市立中学校で9日、健康計測機器メーカー「タニタ」(東京都板橋区)が献立を監修した給食の提供が始まった。生徒の健康維持と食育につなげる取り組みで、各校ごとに年間4回行われる。食材のかみ応えなどを生かしたメニューで、この日、食べた生徒からは「歯応えが良い」などと、おおむね好評だった。 (大平樹)
 同日は、北部学校給食センターで調理された分がタニタ監修の献立。主食は麦ご飯で、サワラの唐揚げ野菜あん掛けが主菜。副菜は中華風に味付けしたきゅうりと茎ワカメと、チンゲンサイのゴマスープだった。キュウリは食感を生かすために大きめに切り、サワラは子どもたちが好む唐揚げにする工夫を凝らした。
 給食が報道陣に公開された生田中学校(多摩区)では、生徒たちから「キュウリがしゃきしゃきしている」「茎ワカメは初めて食べたけど、歯応えが良い」「味付けが濃すぎずちょうど良い」などの感想が出た。給食前にはバランス良く栄養を取ることの大切さを学ぶ講義もあった。
 タニタの管理栄養士荻野菜々子さんによると、給食センターとの調整に約一年間かけ、試作を繰り返した。摂取しにくい食物繊維とカルシウムを盛り込むことや、野菜あんにニンジンを入れて彩りを良くすることなどに心を配った。生徒たちが給食を食べる様子を見守った荻野さんは、取材に「感無量です」とほっとした表情を浮かべた。
 視察して生徒たちと給食を食べた福田紀彦市長は「おいしかった。手がかかっていて、家ではなかなか食べられないメニュー。さすがタニタ」と話した。
 他の給食センターでも今月中に調理される。タニタの給食監修は、市と結んだ市民の健康づくりの連携協定に基づく。同社は健康に配慮したメニューを提供する「タニタ食堂」を各地で展開。同社によると、二〇一五年十一月に新潟県長岡市で学校給食を監修した実績がある。

本記事では、川崎市における給食の取組を紹介。
2017年1月に同社と「包括協定」を締結した同市*1。同協定では「中学校給食の献立等に関すること」、「中学校給食と連携した健康プログラムに関すること」、「その他、「健康」をテーマとして」「連携・協力による取組が必要と認められること」を「検討を行い」「連携・協力」*2することを規定。具体的には同社では、同協定に基づき「市立の中学校全52校の給食メニューを監修」し「2018年5月より」「四半期ごと(年4回)に提供」*3。本記事では、当該提供の状況を紹介。「「後発組」であり、だからこそ給食の内容や食育の充実に重点をおいている」*4と評される同市の取組。今後の献立も要観察。

*1:川崎市HP(市政情報市長の部屋記者会見平成29年記者会見2017年(平成29年)1月17日会見)「川崎市と株式会社タニタとの包括協定を締結します」1頁

*2:前掲注1・川崎市川崎市と株式会社タニタとの包括協定を締結します)12頁

*3:前掲注1・川崎市川崎市と株式会社タニタとの包括協定を締結します)3頁

*4:阿部彩・村上伸子・可知悠子・鳫咲子『子どもの貧困と食格差』(大月書店、2018年)122頁

子どもの貧困と食格差 : お腹いっぱい食べさせたい

子どもの貧困と食格差 : お腹いっぱい食べさせたい