長野県小諸市ふるさと納税の返礼品に加えた市営墓地の「永代埋葬権」が反響を呼んでいる。受け付け開始からの約三カ月間に寄せられた問い合わせ約五十件のうち、半数は首都圏など県外在住者からで、東京都内の人から実際に申し込みがあった。一人分の埋葬権には市への二十四万円の寄付が必要だが、市の担当者は「予想以上の関心の高さ。『子どもに将来の墓守の負担を掛けたくない』と話す高齢者からの申し込みもあった」と話している。(渡辺陽太郎)
 ふるさと納税を所管する総務省にデータはないが、小諸市の担当者は市営墓地の永代埋葬権について「返礼品にしている自治体は全国初」としている。
 市によると、ふるさと納税で市に二十四万円を寄付すると、郊外にある高峯(たかみね)聖地公園の合葬墓の永代埋葬権が贈られる。公園は標高約千メートルにあり、北アルプスなどが望める自然環境が特徴。掃除や修繕などの維持管理は市がふるさと納税の寄付金で賄い、納骨後の負担は不要だ。
 今年二月の永代埋葬権の受け付け開始後、全国から問い合わせが相次ぎ、実際に申し込んだケースは三件(四人分)あった。首都圏からの問い合わせは東京都内から五件、神奈川県内から二件、千葉県内から一件の計八件。このうち、都内の八十代男性が申し込んだ。
 また、長野市に住む七十代の夫婦も二人分の寄付を決め、「子どもが遠方に住んでおり、墓を建てても管理できない。市が管理してくれるのなら身内を煩わせずに済み、ありがたい」と話したという。
 今回の永代埋葬権の対象となる合葬墓は二〇〇八年にでき、現在は百二十二人の遺骨が埋葬されている。ふるさと納税以外でも小諸市民が五万円、市外在住者は七万円で納骨できる仕組みという。
 市の担当者は希望者とのやりとりを通じ、核家族化や少子高齢化などで先祖の墓を撤去する「墓じまい」の需要の高まりを感じており、「市外の人も墓地を利用でき、市が将来にわたって管理することをPRしたい」と話している。

本記事では、小諸市におけるふるさと納税に関する取組を紹介。
同市では、「ふるさと納税の返礼品」として「市営墓地」の「永代埋葬権」*1を提供。公営のため「市が運営・管理する」ことから、「将来に渡りお墓の継承者に頭を悩まされることは」なく、「草木の剪定、建物の修繕など施設の維持管理」は「市が責任をもって行い、「年間管理費」は「永久無料」*2となる。「寄附」額は「240,000 円以上」*3。同品以外にも、「さまざまな使途を掲げて」*4る同市。同品への寄附の状況は、要観察。

*1:小諸市HP(手続き・提供情報:「信州小諸ふるさと応援寄附金(ふるさと納税))「小諸をこころのふるさとに・・・「さわやか信州小諸・永代埋葬権」をふるさと納税返礼品に登録します」2頁

*2:前掲注1・小諸市(小諸をこころのふるさとに・・・「さわやか信州小諸・永代埋葬権」をふるさと納税返礼品に登録します)2頁

*3:ふるさとチョイスHP( 自治体をさがす - 都道府県を選択長野県の自治体小諸市のふるさと納税)「お礼の品詳細

*4:沼尾波子「自治体の税財政 制度と予算」幸田雅治編『地方自治論 変化と未来』(法律文化社、2018年)173頁

地方自治論: 変化と未来

地方自治論: 変化と未来