神奈川県箱根町は15日、町議会の行財政改革調査特別委員会で、町内に宿泊する観光客らを対象とした「宿泊税」の導入を検討していることを明らかにした。町独自の固定資産税の上乗せ措置を続けても、将来的な財源不足が解消されないためで、今後5年以内をメドに導入の可否を判断するという。
 町は今年度までの3年間の時限措置として、固定資産税の税率に0・18%分を上乗せした1・58%を課している。観光施設でのごみ処理費用や消防関連費用などが増加して町の財政を圧迫しているといい、中長期の財政見通しでは、この超過課税措置をやめた場合、行財政改革を行っても来年度からの5年間で年平均5億円の財源が不足。その後の4年間は、年平均9億円が足りなくなるという。
 町の有識者会議は5月、超過課税の継続と宿泊税の導入検討を提言していた。「このままでは住民サービスが低下する恐れがある」とする町は、同率の超過課税を来年度以降も継続する方針で、7月に住民説明会を開き、町議会の9月定例会に関連条例案を提出する。
 これにより、5年間は不足分を補える見込みだが、それ以降は宿泊税での穴埋めも検討していく。勝俣浩行副町長は、この日の特別委で「新税は宿泊税を中心に考えていきたい」と答弁し、調査・研究を進める意向を示した。
 宿泊税は、東京都や大阪府が1人1泊1万円以上の宿泊料金に対して100円以上を課税しており、京都市金沢市も導入を予定している。いずれも観光振興といった使い道を決めた法定外目的税だが、箱根町では使途を限定しない法定外普通税を目指すという。

本記事では、箱根町における新財源確保対策の取組を紹介。
同町では、2018年5月25日に同町に設置していた「箱根町行財政改革有識者会議」が「平成31年度以降の財源確保策について」と題する「提言」*1を同町に提出。同会議では、同町から提示された「財源確保策として」は「単独税目案(固定資産税超過課税の継続)」「複数税目案1(固定資産税超過課税の継続と個人町民税〔所得割〕、法人町民税〔均等割・法人税割〕の超過課税の導入)」、「複数税目案2(固定資産税超過課税の継続と法人町民税〔均等割・法人税割 の超過課税の導入)の「3案」に対して、「単独税目案が町の最終案財源確保策として実現可能な税目は固定資産税のみであると判断」*2し、2019年度から「5年間、これまでの3年間と同様に固定資産税の税率を0.18%引き上げ、1.58%とする」*3 ことが妥当である提示。
他方で、「宿泊税」に関しては、「使途を十分に検討したうえであれば、一定期間後の導入の可能性はある」*4との見解も提示。本記事によると、同税の「導入を検討」し「法定外普通税を目指す」模様。.「独自の地方税*5となる同税案。今後の検討状況は、要観察。

*1:箱根町HP(行政情報政策行財政改革箱根町行財政改革有識者会議(平成29年7月〜))「平成31年度以降の財源確保策について(提言)」(平成30年5月25日)

*2:前掲注1・箱根町平成31年度以降の財源確保策について(提言))2〜3頁

*3:前掲注1・箱根町平成31年度以降の財源確保策について(提言))1頁

*4:前掲注1・箱根町平成31年度以降の財源確保策について(提言))3頁

*5:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣,2017年)115頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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