NTTと横浜市横浜市立大学は31日、官民データの活用による社会課題の解決を目指し、包括連携協定を結んだと発表した。NTTと横浜市が持つデータをかけ合わせて、健康福祉や子育て・教育、地域活性化など幅広い分野で社会課題の解決を目指す。
 例えば横浜市が市民向けに取り組んでいるウオーキングによる健康づくり事業について、歩数データやNTTが持つデータを活用・分析し、生活習慣病の予防や市の医療費削減などにつなげるといった協力を想定している。NTTが持つ、人の流れを時間帯やエリアごとに把握できるデータを活用し、子育てしやすいまちづくりなどにも取り組む。
 同日会見した横浜市の林文子市長は「NTTは我が国を代表する情報通信企業。NTTが持つデータを活用することで、データに基づいた政策立案ができる。強力なパートナーだ」と今後の取り組みについて期待を述べた。
 NTTの澤田純社長は「横浜市は先進的な人口370万都市である一方、都市部と都市部以外の格差など様々な社会課題を抱えている。横浜市の課題を解決することが日本の課題解決につながる」と期待を述べた。
 横浜市立大学とも連携し、同大学の教員や学生もデータの分析や活用に加わる。学生が実際のデータに触れられるようにすることで教育の活性化などにもつなげる狙いだ。
 NTTが自治体と官民データの活用について包括連携を結ぶのは札幌市、福岡市に次いで3都市目。札幌市では訪日外国人向けの観光促進や除雪の効率化、福岡市では自動運転など、それぞれ地域の課題に沿った取り組みを進めている。

本記事では、横浜市におけるにおける協定締結に関する取組を紹介。
12社との間で「特定の事業分野に限らない広範囲の分野」に関する「連携協定」*1を締結する同市。2018年7月31日に、同市では、同社と同校との間で「官民データ活用による超スマート社会の実現に関する包括連携協定」を「締結」*2。同協定は、「健康・福祉」「子育て・教育」「社会インフラ・モビリティ」「地域経済活性化・まちづくり」「市民サービス」「働き方改革」「その他三者が合意するテーマ」の「分野」で、「データ活用を通じて市民生活をより便利にしていくこと」と「同時に」「データを重視した政策形成の取組を通じて市政を効率的・効果的に運営」*3することを目的に締結。
同協定に基づく事業としては、「健康増進事業の有用性検証」、「ICTを活用した子育て世代の回遊性向上」、「ICTを活用したインタラクティブな市民ニーズ把握・情報発信基盤の形成」、「地域経済に直結した実地的スキルを持つデータサイエンティストの養成」、「デマンド交通等による市民・来街者の利便性向上」に取り組む。同協定に基づき、「データ活用」を通じた「利便性を高めること」*4ことを目的とした同取組。今後の実施の状況は、要観察。

*1:横浜市HP(組織政策局共創推進室共創フロント )「包括連携協定

*2:NTT・HP(NTT持株会社ニュースリリースバックナンバー2018年7月)「データ活用で市民生活をより便利に

*3:前掲注1・NTT(データ活用で市民生活をより便利に)

*4:森田朗『新版 現代の行政』(第一法規,2017年)134頁

新版 現代の行政

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