長浜市は十一月一日から、行政手続きに関する市民からの質問に人工知能(AI)を活用してインターネット上で自動回答するシステムの実証実験を始める。市によると、県内の自治体では初めて。市の担当者は「職員の削減が進む中、定型化した業務は機械に任せ、窓口対応や企画の立案などに人を集中させたい」と話す。
 スマホやパソコンから市のホームページにアクセスし、専用のアイコン「市民課Q&Aチャットボット」をクリック。自由入力欄に「住民票の期限は」「婚姻届がほしい」「引っ越し手続き」などと質問を打ち込むと、手続きの方法が自動で表示される。
 質問が不明確な場合でも、AIが利用者の意図をくみ取って関連する選択肢を提示し、回答へと導く。学習機能も備えている。
 行政手続きの方法は市のホームページに掲載されているものの、「探すのが大変」「検索ワードが少し違うだけでヒットしない」などの声があった。市民課には行政手続きに関する電話が一日五十〜六十件あり、職員が対応で余裕がなくなることもあった。
 実験は、市民の利便性向上と職員の業務の効率化につながるとして、京都市システム開発会社と共同で始める。システムは、既存の自動対話プログラム「チャットボット」を活用。近年、買い物サイトの顧客対応や、宿泊施設のフロントの客室対応などで活用が広がっているという。
 実証実験は来年六月末まで。転入や転出などの住所異動届を自宅で事前に作成できるサービスも同時に始める。担当者は「実験中にシステムの精度を上げ、費用対効果をみた上で導入できるか検討したい」と話している。(渡辺大地)

本記事では,長浜市における住民手続きの取組を紹介。
同市では,「複雑で多岐にわたる市民課手続き」において,住民が「知りたいことを,知りたい時に,的確に,わかりやすく説明し」「よりスムーズに手続きを済ませることができる」ことを目的に,「ICTを活用したシステム」の「実証実験」*1を開始。実験で行われる具体的な取り組みは,「市民課手続き自動回答」と「住民異動届の事前作成・発行」の2種類*2。実験期間は「2018年11月1日から2019年6月30日まで」*3。「対話型」*4の同実験。利用結果は,要確認。

*1:長浜市HP(暮らし・手続き住所・戸籍・印鑑登録市民課窓口)「ICTを活用した市民課手続きに関するサービス向上システムの官民協働研究及び実証実験の実施

*2:前掲注1・長浜市(ICTを活用した市民課手続きに関するサービス向上システムの官民協働研究及び実証実験の実施)

*3:前掲注1・長浜市(ICTを活用した市民課手続きに関するサービス向上システムの官民協働研究及び実証実験の実施)

*4:稲継裕昭『AIで変わる自治体業務 残る仕事、求められる人材』(ぎょうせい,2018年)41頁

AIで変わる自治体業務―残る仕事、求められる人材

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