■空き家撤去費、全額回収は1割=自治体の行政代執行-総務省調査(時事通信2019年1月22日)

 総務省は22日、地方自治体の空き家対策に関する調査結果をまとめた。倒壊の恐れがあるなど危険な空き家を行政代執行で撤去した際の費用を、所有者らから全額回収できた事例は1割にとどまった。自治体が全額負担した事例も3割弱あり、費用回収で難しい対応を迫られている実態が浮き彫りになった。
 調査対象は、2015年に全面施行された空き家対策特別措置法に基づく行政代執行や略式代執行の実績があるうちの37市区町村48事例(17年9月末現在)。跡地を売却するなどして撤去費を全額回収できたのは、前橋市や東京都品川区などの5事例(10.4%)だけだった。
 費用回収が進まない背景には、所有者に支払い能力がないことなどが挙げられる。所有者が不明で跡地の売却先も見つからないことなどを理由に、自治体が全額負担したケースは、新潟県十日町市兵庫県姫路市などの13事例(27.1%)。その際の1件の撤去費は、十日町市で1040万円、青森県五所川原市で583万円、姫路市で416万円-などだった。(2019/01/22-10:53)

本記事では,総務省による空き家対策に関する実態調査結果を紹介。

同省では「市町村」の「自主 的な取組を後押しする観点から」「自治体の様々な特性や街づくりの方針等に応じた取組事例や課題 等を明らかにし」「関係行政の改善に資するととも」,「空家等対策の推進に関する特別措置法」の「施行」「5年後に予定される」「見直しの検討等に資する情報を提供する」ことを目的に同調を「実施」*1

調査対象となった「93自治体」のうち「37」自治体で「略式代執行」*2を実施しており,「周辺からの苦情や被害発生の有無等を踏まえ,必要な空き家に対して実施している」*3ことを指摘。「略式代執行が明記された実務的意義」*4が観察される。他方で,「費用」に関しては,「費用全額を回収済み」は「4件」,「費用の一部に国又は県の補助金を利用」は「13件」,「費用全額又は一部を回収予定」は「5件」,「費用回収方法検討中」は「3件」,「全額自治体負担」は「13件」*5となっている。今後の費用回収の取組状況は,要観察。

 

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧 :空き家対策に関する実態調査 <結果に基づく通知>」「空き家対策に関する実態調査 結果報告書」(平成31年1月 総務省行政評価局)1頁

*2:前掲注1・総務省空き家対策に関する実態調査 結果報告書)6頁

*3:前掲注1・総務省空き家対策に関する実態調査 結果報告書)13頁

*4:北村喜宣「法の整理による「積極的合意の非形成」と行政介入」金井利之編著『縮減社会の合意形成 人口減少時代の空間制御と自治』(第一法規,2019年)

 

縮減社会の合意形成-人口減少時代の空間制御と自治-

縮減社会の合意形成-人口減少時代の空間制御と自治-

 

 

*5:前掲注1・総務省空き家対策に関する実態調査 結果報告書)頁