新庁舎に大屋根広場 日立市、復興事業が完了 (茨城新聞2019年3月31日)
 東日本大震災で大きな被害を受け、日立市が「震災復興のシンボル」として取り組んできた市役所の新庁舎整備で、庁舎東側の大屋根広場が完成し、記念式典が30日、同広場で開かれた。分散していた行政機能を集約し、防災拠点化した新庁舎は、美しい曲線を描くアーチ状の鉄板が連なる大屋根広場と北側駐車場を合わせて同日、グランドオープンした。震災から8年が過ぎ、同市の復興事業は完了した。

 大屋根広場は、新庁舎が開庁した2017年7月以降、第2期工事として、旧庁舎を解体した跡地に整備された。広さは約3000平方メートルで、八つのアーチ状鉄板をつなぎ合わせ、柱で支える構造だ。大規模災害時には市民の一時避難場所になるとともに、災害支援物資などの集積場所として活用されるほか、イベントでも使われる。
 同広場内には多目的ホール棟と空が見える中庭広場、バスとタクシーが乗り入れる交通広場を設置。多目的ホール棟にはいずれもガラス張りのイベントホールとレストランがあり、国道6号に面するエントランス広場周辺にはサクラの木が植えられた。駐車場は約120台分が加わり、計約260台分となった。
 市役所敷地内を流れる数沢川の暗きょ化などと合わせた2期分の工事費は約25億円で、新庁舎本体を建設した1期分と合わせた総事業費は約127億円。このうち市の実質的負担は約3分の1にとどまる。
 式典には約130人が出席したほか、多数の市民が詰め掛けた。小川春樹市長は「(新庁舎全体が)市民の願いが込められて完成した。震災復興も一区切りとなる。市役所が市民の役に立つところと改めて肝に銘じて取り組む」と述べた。
 設計監理を担ったSANAA事務所代表取締役で同市出身の建築家、妹島和世さんは「(新庁舎は)市民がふらっと立ち寄り、心のよりどころと思える場所になったらいい」と話した。
 アトラクションとして市立多賀中吹奏楽部のメンバーが演奏を披露した後、小川市長らが桜色と白の風船を大空に放ってグランドオープンを祝った。
 旧庁舎は震災で半壊などの被害を受けた。老朽化や分散立地していた市教委などの集約化が課題だったこともあり、市は11年9月策定の震災復興計画に庁舎建て替えを盛り込み、整備を進めてきた。(川崎勉)

本記事では,日立市における庁舎整備の取組を紹介。
同市が2015年度から「進めてきた新庁舎整備が」,2019年「3月をもって完了」*1。本記事では,同年同月30日に開催された「グランドオープン記念イベント」*2の状況を紹介。「多目的な場所で,また,用事がなくても人々が集うことができる,公園のような場」*3としての利活用状況は,要観察。