新宿の保健所、既に人手不足 夜の街で感染者急増 (日本経済新聞2020年7月11日)

 新型コロナウイルスの新規感染者が大きく増えている東京都内で、保健所の人手不足への懸念が再び高まっている。夜の繁華街を担当する新宿の保健所は既に人手が足りず、都から保健師などの応援派遣を受けている。パンク状態となった第1波の反省から業務の外注も進めるが、一段の運営効率化が急務だ。

 特に新宿区の保健所は大変な状況にある。一番忙しく、重大な役割を担っている保健所をサポートしたい」。都内の1日の感染者数が243人と過去最高を更新した10日夜、小池百合子知事は西村康稔経済財政・再生相との会談後の記者会見で強調した。保健所業務を支援する拠点の新設などを検討する。

   新宿では全国で緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、歓楽街の歌舞伎町を中心に感染者が急増。区は保健所を通じて、接待を伴う飲食店の従業員や客らに症状の有無にかかわらず検査を促し、感染の封じ込めを急いでいる。

 集中的な検査で多数の感染が発覚したため、新宿区保健所だけでは人手が足りなくなり、既に都などから数十人規模で保健師などの応援を仰いでいる。都は新宿以外でも夜の街を抱える地域で検査を徹底する方針で、保健所職員の不足が顕在化し始めている。

 新宿区ではPCR検査の陽性率も高くなっている。東京都医師会によると、今月3日には37.3%となった。検査を行っている国立国際医療研究センターは「緊急事態宣言が出される前の状況と似ている。市中感染が心配だ」という。

 現時点では集団感染がみられるのは新宿や池袋など一部にとどまっているが、市中で拡大すれば保健所の逼迫感も一段と強まりかねない。

■第1波でパンク、外注進むも効率化半ば

 保健所の人手不足は第1波でも全国的に大きな問題となった。感染の可能性を訴えても保健所がパンク状態で医療機関につないでもらえず、日本でPCR検査が増えない一因とも指摘された。

 全国保健所長会が実施したアンケート(複数回答)によると、感染が拡大し始めた3月中旬~下旬の保健所業務は▽感染疑いの人を診察する医療機関の調整(98.1%)▽検査機関への検体搬送(97.7%)▽感染経路を追跡する積極的疫学調査(67.7%)――など多岐にわたった。葛飾区保健所(東京・葛飾)では、4月の超過勤務が最も長い人で128時間に達した。

保健所は行政改革の一環でスリム化が進んでいた。1994年の地域保健法成立で、母子保健など住民に身近なサービスは保健所から市町村に移管され、保健所は感染症対策や食品衛生、難病対策などの専門業務を担う仕組みに変わった。

 保健所数は94年の847カ所から今は469カ所へとほぼ半減。1カ所当たりの保健師は平均17人ほどで、感染症の担当はさらにその一部にとどまり、パンデミック(世界的流行)への対応力は十分とは言い難い。

 第1波の反省から、多くの保健所では検体搬送や、検査結果の本人への通知といった事務的な作業の外部委託を進めている。感染経路の追跡や感染者の健康管理など専門業務への特化を進め、運営効率化を目指す。

 ただ、第2波への備えはまだ整っていないのが実情だ。内田勝彦・全国保健所長会会長は、看護師免許と保健師免許の両方が必要な保健師などの専門職は急には増やせないとして「他の機関に任せられる業務はまだある。外部委託をさらに進めるとともに、地域間の保健所連携が必要だ」と指摘する。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、保健所の体制強化が引き続き課題に上っている。感染拡大を抑え込み第2波を防ぐには、保健所が感染経路の調査など専門業務により集中できる体制を整える必要があるとの声が多い。

 分科会長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は「保健所機能の問題は残念ながら解決していない」と指摘する。業務の見直しや自治体から保健所への保健師の応援派遣など、国や都道府県が具体的な体制強化策を提示できるかが問われる。

本記事では,新宿区における感染拡大対策の取組を紹介.

同区では,「国立国際医療研究センター」と「新宿区医師会と協定」を締結し,「新宿区新型コロナウイルス検査スポット」を「設置」し,2020年「 4月27日から」,同「区内の基幹病院」と「区医師会」が「連携し」,同スポットを「運営」*1.本記事では,同区の「保健所」への「都から」の「応援派遣」の状況を紹介.

区都間での「濃密な連携と協働」*2の状況は,要確認.