小池都知事呼びかけ、首都圏で緊急事態宣言を要請(日本経済新聞2021年1月3日)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く首都圏1都3県の知事は2日、政府に緊急事態宣言を再び発令するよう要請した。「感染爆発の瀬戸際」との危機感から、東京都の小池百合子知事の呼びかけに3県の知事が応じた。

1都3県の知事は西村康稔経済財政・再生相との会談後、共同で記者会見し、「人流を抑制する必要がある」(小池氏)と要請の狙いを説明した。これに対し、西村氏は危機感を共有したと述べ、政府として連携する考えを強調した。

都が2020年12月30日に開催した感染状況を分析・評価するモニタリング会議では、専門家からは「より強い対策を直ちに実行する必要がある」と訴える声が上がった。小池氏は同日、「ここで感染を抑えなければ、緊急事態宣言の発令を(国に)要請せざるを得なくなる」と踏み込んでいた。

埼玉県の大野元裕知事は2日、記者団に対し、小池氏と20年12月29日に緊急事態宣言に関するやりとりを交わしたことを明らかにした。大野氏も昨年末に「年末年始で感染者数が抑制できない場合はより強い措置をとる」と明言しており、この頃には東京、埼玉の両知事の間で緊急事態宣言の要請で一致していたとみられる。

一方、神奈川県の黒岩祐治知事は1月1日、記者団に対して、緊急事態宣言は「国が判断するもの」と述べるにとどめていた。その後、小池氏の呼びかけを受けて歩調を合わせることを決めたという。

首都圏の4知事と西村氏の会談で、国からは飲食店などの営業時間について、20年4~5月の緊急事態宣言の発令時と同等の対応として、酒類の提供は午後7時まで、営業は午後8時までとするよう求められた。テレワークの徹底や学校などでの感染防止対策の強化、イベントの開催要件の厳格化を提案されている。今後はこうした対応を具体的に講じるための調整作業などが必要になる。

例えば、神奈川県は現在出している時短要請の対象地域は横浜市川崎市だが、緊急事態宣言後に2市以外にも広げるかどうかが課題になる。黒岩氏は「その辺りも含めて協議したい」と語った。埼玉県の大野氏は「1都3県で調整しないと効果が出ない。これから国と詰めていきたい」と話す。緊急事態宣言の要請で足並みをそろえた1都3県が、感染拡大に歯止めをかける実効性のある対策でも協調できるかが問われる。

本記事では、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県における感染拡大対策の取組を紹介。

「ますます厳しい局面に直面」するなかでの「緊急事態宣言の発出を要請」*1する同取組。

「大都市圏域」*2による同取組。同要請に基づく政府の対応は、要観察。

*1:東京都HP(都政情報 : 知事について: 知事の部屋 : 知事の記者会見 :知事記者会見/令和2年 : 小池知事「知事の部屋」 / 記者会見(令和2年12月)小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年12月30日))「知事記者会見 2020年12月30日(水) 14:00~14:53」1頁

*2:一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ『新型コロナ対応民間臨時調査会 調査・検証報告書』(ディスカバー、2020年)371頁