都21年度予算案 税収減 都債2.8倍発行 知事「財政基盤を堅持」(東京新聞2021年1月30日) 

 都が二十九日に発表した二〇二一年度当初予算案。新型コロナ感染拡大の影響で税収が落ち込む中、基金や都債発行余力など蓄えてきた体力を活用し、一般会計は過去二番目の七兆四千二百五十億円と大型の編成となった。小池百合子知事は「財政基盤を堅持しながらメリハリを効かせた」と述べたが、今後もコロナ対策の追加支出を控えており、引き続き厳しい財政運営を強いられそうだ。 (松尾博史、原昌志)
 歳入は、コロナの経済影響で都税収入を前年度比三千九百九十六億円の減を見込み、このうち柱となる法人二税は20・1%減の三千六百八億円。

 補うために防災街づくり基金など特定目的基金、不測の事態に備える財政調整基金を合わせて八千二百九十億円(うち特別会計三十八億円)を取り崩し、借金にあたる都債を前年度当初の二・八倍の五千八百七十六億円発行する。
 都民一人あたりでは、前年度と比べて都税収入は約二万九千円減り、借金(都債)は約二万七千円増える。
 歳出は、新型コロナ対策などで過去最多の四百三十件の新規事業を編成。一方で投資的経費は前年度比10・4%減の九千四百三億円と抑えるなど全体のバランスに配慮した。
 目的別では「福祉と保健」は前年度比1・4%増の一兆二千九百七十五億円、「労働と経済」も20・8%増の五千三百三十三億円とした。
 「教育と文化」は都立学校の改修費などの減少で3・4%減の一兆一千六百八十億円、「都市の整備」も4・6%減の八千二百八十六億円とした。医療提供体制強化などに伴うコロナ対策は補正予算で編成予定。

発達障害児の学校生活支援
 主な事業は、デジタル機器に不慣れな高齢者がスマートフォンを利用できるように、通信事業者と連携して、端末の貸し出しや相談会などの普及啓発を行う。事業費は二億円。
 二酸化炭素(CO2)削減に向けては、電気自動車(EV)の購入や充電設備設置の補助などの費用六十七億円をはじめ、燃料電池車用の水素ステーション整備支援に二十一億円を計上した。
 都立文化施設保有する収蔵品や展覧会、公演などをデジタル化し、オンラインで公開する事業には一億円。発達障害のある児童生徒の学校生活をサポートする「特別支援教育支援員」の配置には十四億円を盛り込んだ。
 障害の有無にかかわらず遊べる遊具の設置を後押しするため、広場を整備する自治体への補助として六千万円を確保した。
◆2万人超の雇用創出目指す
 コロナ対策には、経済情勢の悪化を踏まえ、雇用対策や就業支援に前年度より百四十六億円多い三百十六億円を計上。一九三〇年代に米国で行われた景気対策になぞらえ、「東京版ニューディール」(TVA)と銘打ち、失業者らの支援や中小企業への助成金などを通じて、二万人超の雇用創出を目指す。
 コロナ禍で外出を控える高齢者が多い中で、オンラインの機器を使って介護予防の取り組みを進める自治体への支援として四億円。感染防止のために換気設備の設置や個室化を進める特別養護老人ホームなどへの補助として、三十四億円を盛り込んだ。
 出産を希望する家庭を後押しするため、新生児一人あたり十万円の育児用品や子育て支援サービスを提供する。事業費は百一億円。
 自殺の防止に向け、会員制交流サイト(SNS)などを使った相談や支援体制の強化には七億円を計上。テレワーク推進策の一環として、障害者のテレワークに取り組む企業支援に三千万円、商店街の空きスペースなどを活用したサテライトオフィス設置の支援にも三千万円を盛り込んだ。
 東京五輪パラリンピック感染症対策は三十二億円をかけ、会場周辺での消毒や清掃、体調不良者への対応などに取り組む。

本記事では、東京都における予算編成の取組を紹介。

同都では、2021年1月29日に「2021年度」「予算案」*1を公表。「16年ぶりのマイナスシーリング」*2で組まれた同予算案。歳出、歳入は「7兆 4,250億円」と前年度からは「710億円」*3の減。歳入では「都税」が「3,996億円」*4の減となる。

「多元的な参加者」*5との間で組まれた同予算案。審議過程は要観察。