<23区の予算案>杉並区 「参加型予算」モデル実施化(東京新聞2023年2月1日)

杉並区民の区政参画を推進する。予算の使い道を区民が決める「参加型予算」のモデル実施費に七十万円を計上。無作為で選んだ区民が気候対策を話し合う「気候区民会議」の設置に向け調査費四十八万円を盛った。
 参加型予算は二〇二五年度の本格導入に向け、試験的に「森林環境譲与税基金」の使い道を決める。国から譲与される同税を積み立てた基金は二二年度末時点で約六千万円あり、インターネットを通じて区民から事業提案を募集。区が基金の使い方として目的に合っているか精査して絞り込み、実現可能な候補から区民に投票で選んでもらい、二四年度予算案に盛り込む。
 パリ市や東京都、三重県などで導入例があるが、都内市区町村では初めて。岸本聡子区長は「区民が区政に参加した結果が目に見えることが大切」と意義を語った。気候区民会議は武蔵野市など先行例の調査や専門家の意見聴取を行う。
 性的少数者(LGBT)のカップルの不便を解消する「パートナーシップ制度」の四月導入のための関連予算と条例案も、九日に開会する区議会定例会に提出する。当初、事実婚も含める方針だったが「議論が深まっていない」として対象から外した。(原田遼)

本記事では、杉並区における予算編成の取組方針を紹介。

同区では、同「区民の意思を予算編成の一部に反映させる」「参加型予算」「の検討」として、2024年度の「予算編成の過程」で「森林環境譲与税基金の使途をテーマ」とした「モデル実施」*1する方針を提示。

「市民が予算決定に広く参加できる」*2同取組。参加過程と成果は要観察。

東京都、福祉保健局を7月に分割 コロナなど有事に備え(日本経済新聞2023年1月30日)

東京都は7月1日付で福祉保健局を廃止し、福祉局と保健医療局に分割する。福祉局は子育て支援から高齢者・障害者福祉まで幅広くカバーし、保健医療局は新型コロナウイルスのような有事の感染症対策や医療政策の企画立案を担う。都は新型コロナ対応で福祉保健局内に感染症対策部を置いて対応にあたってきた。今後の有事に備え、体制強化を図る。

本記事では、東京都における組織改正の取組を紹介。

同都では、「都民の生命と健康を守り」「福祉・保健・医療サービスを将来に渡って盤石なものとする」目的から、現在の「福祉保健局」を「廃止」し、2023年7月より「福祉局」、「保健医療局」を「設置」*1する方針を提示。

「福祉局」は、「総務部」「企画部」「指導監査部」「生活福祉部」「子供・子育て支援部」「高齢者施策推進部」「障害者施策推進部」の「7部体制」、「保健医療局」は「総務部」「企画部」「保健政策部」「医療政策部」「都立病院支援部」「健康安全部」「感染症対策部」の「7部体制」*2となる。

「首長の直近下位組織の内部組織の変更」*3となる同取組。再編後の業務状況は要観察。

*1:東京都HP(都政情報 : 報道発表 : これまでの報道発表 : 報道発表/令和5年(2023年): 1月 )「令和5年度職員定数等の概要

*2:前掲注1・東京都(東京港カーボンニュートラルポート計画(案))

*3:田村秀「自治体の組織」北山俊哉・稲継裕昭編『テキストブック地方自治 第3版』(東洋経済新報社、2021年)57頁

東京都、長期戦略「未来の東京」改定 少子化対策など強化(日本経済新聞2023年1月27日)

東京都は27日、長期計画「『未来の東京』戦略」の改定版を公表した。急速な少子化の進行や深刻化する気候危機などを踏まえ、政策の方向性と重点施策を改めて取りまとめた。チルドレンファーストの社会実現や、脱炭素化の推進、激甚化する災害への対策強化に重点を置いた。

バージョンアップする政策分野として、「チルドレンファーストの社会」を最初に掲げた。都内の出生数が戦後最低を更新し続け、新型コロナウイルス禍で婚姻件数も急減したことを指摘し「これまでにない大胆な政策展開」を実行するとした。

結婚から妊娠、出産、子育てまで、切れ目のないサポートを展開する。0〜18歳までの子どもに対する月額5千円の給付金の支給や、保育料の無償化、結婚を希望する人へのマッチング支援などを主な施策に挙げた。

脱炭素への転換を図る「グリーントランスフォーメーション(GX)」の世界的な潮流を経済成長の原動力として位置付ける。環境分野のスタートアップ支援や、GXを担う人材育成などを推進する。

災害対策では、気候変動に伴う海面上昇や降水量の増加を見据え、防潮堤のかさ上げを段階的に実施するほか、調節池の整備も前倒しする。

都は2021年3月に同計画を策定。目指すべき40年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、実現に向けた戦略と推進プロジェクトを示した。社会環境の変化を踏まえて内容を改定するのは22年2月に続き2回目。都は「時代や状況の変化に弾力的に対応する」としている。

「未来の東京」とは別に、行政のデジタル化を核とする都政改革についても新たな目標を公表した。25年度に9割の行政手続きをデジタル化し、庁内のシステム基盤をクラウド環境に転換する。高度デジタル人材を育成する仕組みを構築するほか、スタートアップとの連携強化や制度改革を推進する部局横断のチームの発足なども掲げた。

本記事では、東京都における長期計画改訂の取組を紹介。

で記録した同都による長期戦略。2022年2月には「東京2020大会の成果と新型コロナによる変化・変革を踏まえ」た改訂が行われ、2023年1月には「これまでの常識が通用しないグローバルな課題の発生や急速な少子化の進行など」「これらに先手先手で対応していく必要がある」 *1と判断し、さらなる改訂版を公表。同改訂版では「成長の源泉となる「人」」「世界から選ばれ・世界をリードする都市」「安全・安心でサステナブルな東京」「従来の枠組みを超えた取組」を「バージョンアップする主な分野」*2と位置付けている。

「時代状況の変化によって、適宜修正も行わる」*3同計画。同戦略に基づく新しい事業の実施状況は、要観察。

東京都23年度予算、初の8兆円台 子育て支援に重点(日本経済新聞2023年1月27日)

東京都は27日、一般会計総額8兆410億円の2023年度予算案を発表した。22年度当初比で3.1%増額し初めて8兆円を超えた。18歳以下への月額5000円給付、卵子凍結への助成など少子化対策に重点配分した。子育て支援を含む社会保障費は23年度以降も増加が見込まれ、安定的な財源確保が課題となる。

子ども関連予算は1兆6488億円と22年度当初に比べて14.6%増やした。都内の0〜18歳への給付は23年度の1年分(6万円)をまとめて24年1月に支給する。0〜2歳の第2子は保育料を10月以降無償化する。いずれも所得制限は設けない。

妊娠を望む女性に対する卵子凍結などの助成、凍結卵子を活用した不妊治療費への助成も新たに始める。年収910万円未満の世帯には私立中学校の授業料を助成する。結婚から妊娠、出産、教育とライフステージの各段階で少子化対策を拡充した。

都内の出生数は21年まで6年連続で前年を下回り、22年も減少したもようだ。小池百合子知事は27日の記者会見で、少子化対策について「本来は国が戦略的に取り組むべき課題だ」と指摘。「もはや一刻の猶予もないという危機意識を持ち、国に先駆ける総合的な対策を打ち出す」と述べた。

防災など都市機能の強靱(きょうじん)化に向けた予算も7397億円と22年度当初比で16.1%増額した。関東大震災から100年の節目となる23年度からの10年間で総額6兆円を投じ、防潮堤のかさ上げや調節池の整備を進める。被災時の物資輸送を想定した道路も整備する。

都税収入は6兆2010億円と22年度当初比で10.1%増える見通しだ。企業業績の回復で法人関連の税収が伸びる。新型コロナウイルス関連の予算縮小や既存事業の見直しと合わせ、子育て支援など新たな歳出の財源をまかなう。都債の起債額はおよそ2900億円とほぼ横ばいを見込む。

23年度の新規事業のうち、18歳未満への5000円給付だけで年間約1200億円の固定費増につながる。東京都の積極策を支えるのは都道府県では突出した財政基盤の厚さだが、都税収入の3割を占める法人事業税と法人住民税は景気の変動を受けやすい。

高齢者福祉を含む社会保障費、インフラの老朽化対策といった財政需要は今後も増加傾向が続く。既存事業の見直しや新たな税収源の発掘など、東京の課題解決を支える安定財源をどう確保するかが課題となる。

本記事では、東京都における予算編成の取組を紹介。

同都では、「一般会計歳出総額」「8 兆410億円」の「2023年度」の「予算案」 *1を公表。「投資的経費」が2022年度に比べて「5.1%増の1兆275億円」*2となる同予算案。

「都税」は「6兆2,010億円」*3、「基金残高」は「1兆7,288億円」*4となる。「マイナスシーリングによる予算要求段階での削減」では「約100億」、「事業評価の取組による財源確保額」では「約1100億」、「施策の終了・転換」 による「約1200億」による「持続可能な財政運営」が「図*5られている。

「財政健全性の確保」*6に関する予算案の審議状況は要確認。

*1:東京都HP(都政情報 :都政 : 組織情報 : 東京都の組織・各局のページ財務局財政情報予算 :令和5年度予算)「令和5年度 (2023年度)東京都予算案の概要」18頁

*2:前掲注1・東京都(令和5年度 (2023年度)東京都予算案の概要)23頁

*3:前掲注1・東京都(令和5年度 (2023年度)東京都予算案の概要)18頁

*4:前掲注1・東京都(令和5年度 (2023年度)東京都予算案の概要)35頁

*5:前掲注1・東京都(令和5年度 (2023年度)東京都予算案の概要)28頁

*6:小西砂千夫「財政」北山俊哉・稲継裕昭編『テキストブック地方自治 第3版』(東洋経済新報社、2021年)155頁

東京港の脱炭素化へ水素活用 都が計画案(日本経済新聞2023年1月25日)

東京都は25日、東京港の脱炭素化に向けた計画案を公表した。水素エネルギーの活用などを通じ、温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指す。水素や燃料アンモニアといった次世代燃料の供給体制を構築し、港湾設備や船舶などに必要なエネルギーを化石燃料から次世代燃料へ置き換える。

二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年に00年比で半減、50年に実質ゼロとする。具体策として、30年までにコンテナを積み替える荷役機械の動力をディーゼルエンジンから燃料電池(FC)に置き換える。次世代燃料を活用した自立型の発電設備を配備し、電力逼迫にも備える。

東京港では民間事業者を含め年間58.6万トンのCO2を排出している。都はこれらを置き換える場合、50年時点で年間約1.3万トンの水素が必要と推計した。

計画は東京港を利用する港運事業者などの民間事業者を含む地域全体が対象。これまでに民間企業を含めた検討会を開き、脱炭素に向けた計画を策定した。都は2月27日まで計画案への意見を募集する。

本記事では、東京都におけるカーボンニートラルの取組を紹介。

同都では、「東京港の脱炭素化に向けた取組」を「推進」する目的から、「東京港カーボンニュートラルポート(CNP)検討会」を「設置」し、「東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画(案)」*1を作成。2023年「1月25日」から同年「2月27日」*2の間でパブルックコメントを実施。

「意見聴取」*3の状況は、要確認。