5年以内に受診率を50%以上にすると国が目標設定したがん検診について、達成可能と考えている自治体が、道府県庁所在地の46市と東京23区にはないことが朝日新聞が実施したアンケートでわかった。予算や設備の不足、関心の低さを訴える自治体が多い。がん死亡率を10年間で2割減らすという国の計画のもとになる検診体制のもろさが浮かび上がった。

同記事では、がん検診の低迷要因として、「検診費用に国からの補助金はなく、市区町村と受診者が負担する」ことを挙げ、自治体の自己決定と自己負担能力のディレンマから分析。「健康診断」は、自治体観察を通じて少なからず関心をもつテーマであり、鋭く「地方分権」を考えさせられる。
これまでの限られた自治体観察からは、がん検診の「アウトプット」では高値となるよう各自治体では苦心されているが、一方で、「アウトプット」として実施可能な目標設定を行うため、がんの早期発見(事前抑制)の実質的な「アウトカム」は低値となる(又は、把握をし切れていない)ようである。「アウトカム」が低値となる要因(言い換えれば、「実質的」に高値とする要因)も明らかにする方策が必要。
例えば、健診は当事者やリスク保有者のものではなく、広く共有される方策とすることがその一つか。その点では、同記事にもある「住民の関心が低い」(67%)ことは、制度設計上のヒントとなる。