札幌市は十一日までに、課長級幹部への民間人登用を二○○八年度に初めて行う方針を決めた。四人程度を予定しており、民間のノウハウを生かして、市政を活性化させたい考えだ。
市総務局によると、「市内部で強化したいところ」として、広報や観光、環境、まちづくりの四部門への起用を検討している。採用方法は未定だが、企業からの出向などを想定。雇用期間については、三年程度としている。年齢は制限しない考え。

同記事では、札幌市における課長職への民間人登用の制度化を紹介。地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律に基づく運用の様子。同法では「多様な任用形態」をひろげる機会であることが制度趣旨だが、制度運用の観察により、自治体における活動分野の弱みと強み(重点分野)も分かる。
2007年4月1日現在での総務省の調査では、政令指定都市だけを見てみると、8自治体で任期付職員を採用。主な採用分野を数えてみると、ICT(新潟市大阪市)、広報(新潟市、福岡市)、訟務(大阪市横浜市)、国際関係(堺市)、医療関係(大阪市)、教育関係(仙台市新潟市川崎市)、徴税(堺市)、福祉(堺市)とある*1政令指定都市中の政令指定都市である大阪市横浜市の一方で、「新規移行組み」の都市が並ぶのも興味深い。
気にはなるのは「多様な任用形態」を選んだ人の任期後である。同記事にもあるように企業等からの出向のいわゆる「往復切符」で任用される人が任期付職員制度では大半かもしれないが、「片道切符」で決心された方々はどうなるのだろうか。
また、同記事の後段では、民間経験者の管理職への登用を決めている、とも紹介。このことは、自治体における管理職の人事管理として考えてみると、メリット・システム(成績主義)が徹底されていると理解すべきか。はたまた、自治体組織での大量退職等にともなう、管理職として適当なお年頃の人材が不足であることによるものか。

*1:川嶋豊一「地方公共団体における任期付採用制度の運用状況に関する調査結果について」『地方公務員月報』2007年10月、150頁、157〜160頁(表5)。