• 西尾勝「チャールズ・A・ビアードの市政学と『東京市政論』」『都市問題 後藤新平生誕150周年記念・後藤新平「大風呂敷」の実相(8月号特別増刊)』2007年8月号特別増刊、第98巻第9号、40〜52頁

お昼過ぎにひと泳ぎ。入水に向かう前、ラウンジでは「パネルアタック25」が放映。画面のなかでは、わずか2枚のみを残してトップ賞を獲得した回答者の笑顔が映し出されていた。児玉清の進行により恒例のフィルムクイズに移ると、お馴染み「自治三訣(人のおせわにならぬよう、人の御世話をするよう、そして、むくいをもとめぬよう)」の書の映像。「ああ、後藤新平ね」、「パリ・ミラノ行きは確定だな」と思いつつ、どのような映像が流れるかと興味がてら見続ける。水沢の風景、東京市関東大震災の様子、そして、昨年多く公刊された後藤関連本の映像が流れる。しかし、回答者は苦悶の表情、そして、無回答。後藤新平の認知度は低いのかと驚嘆。
昨年は後藤新平生誕150年であったため、関連本が多く刊行。そのなかでも、同雑誌は、多方面から後藤新平を論ずる。同雑誌内にある西尾論文は出色の一本。アメリカ市政研究者である西尾先生が米国の市政改革とビアードが残した『東京市政論』の距離感の謎を解く。同雑誌同論文内で、『東京市政論』の翻訳をめぐる経緯の資料発掘の件(44〜45頁)は史料発見による解明作業の面白さを堪能できる。