首都機能の移転候補地となっている愛知、岐阜両県は、今年度をもって共での誘致活動を事実上打ち切る方針を固めた。これまで「岐阜愛知新首都推進協議会」を足場に運動を進めてきたが、来年度は両県とも協議会への負担金を予算計上しない。国会審議が進まず移転の現実味が薄れる中、これ以上の拠出は県民の理解が得られないと判断した。
 愛知・岐阜が移転候補地となったのは99年12月。両県ともそれ以前から誘致活動をスタートさせ、愛知は06年度までに3億2286万円、岐阜は5億1071万円を関連事業に支出している。しかし、政府の国会等移転審議会が愛知・岐阜、栃木・福島の2地域を選定した後は議論が滞り、移転地絞り込みの役割を担った衆参の国会等移転特別委員会は結論を出さないまま廃止された。05年10月を最後に政党間協議も途絶え、移転論議そのものが消えてしまったのが実態だ。
 移転熱が冷めるのに伴い、愛知、岐阜両県は誘致予算を減らし、ピーク時に岐阜で1億円、愛知で4000万円を超えた支出も、今年度はともに580万円にまで減額した。それでも運動自体が成り立たず、両県は今月10日、協議会への負担金500万円の支出取りやめを決めた。移転誘致をめぐっては、両県とも「お金をかけてアピールする状況ではなくなった」(愛知県関係者)との認識で一致している。来年度も事業自体は継続するが、個別に少額の事務費を計上する方向だ。

同記事では、愛知県、岐阜県が首都機能誘致運動のための予算計上を来年度より行わないことを紹介。
首都移転の候補地である「栃木・福島地域」、「岐阜・愛知地域」、「三重・畿央地域」にある栃木県、福島県岐阜県、愛知県、三重県の5県には、昨年11〜12月に聞き取り調査に訪問させて頂いた。その折、概ねの各県庁の入口付近(栃木県は庁舎建て替え中であったため除くが)には、東京都23区の航空写真の上にどれほど政治・行政・経済機能が集中していることを示した一枚紙のパンフレットが、各県の広報とともに並んでいた。首都圏(そして、国政的にも)では、首都機能移転の議論はあまり聞かれなくなったなか、各県ではその盛り上がりが継続していたのかと思い、パンフレットを眺めた。ただ、本日、東京都庁に行った折、入口前の掲示板をふと見ると、「首都移転反対に関するポスター」*1が貼られていた。これは1999年から貼られており、更によく見てると掲示期間が「当分の間」とも手記されている。
首都機能移転は、自治体間の水平的協議によって合意に達する課題ではなく、結局は国家としての判断(「国民的議論」)によって結論付ける課題。財政の「時間的二面性」の管理の考え方に立ち、現在費用の最小化を選好した判断は妥当とも思う。