政府は二十九日、年金、医療、介護といった社会保障制度の将来像や、負担と給付の在り方などを検討する「社会保障国民会議」の初会合を首相官邸で開いた。
 福田康夫首相は、冒頭のあいさつで「わが国は世界に類をみない(早さで)少子高齢化が進行しており、今までの社会保障制度でやっていけるか心配がある」と、現行制度の持続可能性に強い危機感を表明。抜本的な改革を検討すべきだとの考えを示した。特に、年金制度については「(現行の保険料方式から)税方式に転換したらどうかという意見もあり、懸案となっている」と述べ、基礎年金の税方式への転換を主張する民主党への歩み寄りも視野に、踏み込んだ議論を求めた。
 初会合では(1)雇用と年金(2)医療と介護、福祉(3)少子化対策と仕事と生活の調和−の三分科会を設置し、テーマ別に議論を掘り下げることを決定。六月に中間報告、秋に最終報告を取りまとめる方針を確認した。。

同記事では、昨日設置された社会保障国民会議の体制及びスケジュールを紹介。費用と給付が議論の中心となる模様。
今後、保険者としての市町村のあり方についても議論が拡張しうるのか要観察。と思いきや、同会議の「社会保障国民会議運営要領」*1を見てみると、高らかに「会議は、非公開とする。」との文言が冒頭にあり驚嘆。議事要旨の公開はあるようだが、詳細な議事録の公開(最近では、映像・音声の撮って出し)がなければ、要らぬ憶測も喚び、国民レベルでの審議が難しくなるのではないかとも危惧。
「映像・音声の撮って出し」は地方分権改革推進委員会を観察するうえで非常に役に立っている。ただ、気になっている点として、同委員会の委員会開催状況のページ下にある「この動画配信は、地方分権改革推進委員会の公式記録ではありません。」という文言はいかなる意味なんだろうか。分かるようで分からない。歴史的記録としての議事録は、各委員が発言の趣旨や発言足らずの部分を適宜「加工」*2されることは必要な作業といえる。これにより、後の政策担当者(そして、研究者)が顧みることが可能となる。そのため、会議終了後の委員間で「加工」された議事録のみが「正史」であるとの趣旨とは考えられるが、その一方で、折角の映像がある以上、これもまた公記録として位置づけ、保管・公開することが望ましいと思うが。

*1:第1回社会保障国民会議 配布資料3社会保障国民会議運営要領

*2:森田朗『会議の政治学』(慈学社、2006年)135頁

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)