09年4月の政令市移行を目指す岡山市は30日、区名意向調査の結果を発表した。6月10日に市行政区画等審議会(会長・千葉喬三岡山大学長)へ報告し、区名案を検討する。「A区」(仮称)は「北」1万5839通、「桃太郎」8373通、「緑」6961通、「旭」6912通、「岡北」6488通、「旭川」3704通。応募総数は4万8277通だった。「B―1区」(同)は「中」1万7749通、「さくら」1万1386通、「操山」8886通、「旭」5322通、「城東」4307通。応募総数は4万7650通だった。「B―2区」(同)は「東」1万8968通、「城東」9200通、「岡東」6852通、「吉井」6490通、「吉井川」5093通。応募総数は4万6603通だった。 「C区」(同)は「南」1万8407通、「岡南」1万3541通、「港」8143通、「児島」5361通、「西」1562通。応募総数は4万7014通だった。  同調査は、4月28日から5月19日まで選択式で行われ、6万75通の応募があり目標の5万通を突破。最終的な有効数は5万4935通だった。各区のトップは、2月29日から3月14日まで行われた1回目の区名案募集と同じ結果だった。同審議会では、区の一体感醸成、各区の整合性を図るため、必ずしも応募数の多いものが選定されるわけではない。答申を受け、同市としての考え方を表明し、11月定例市議会で名称、エリアを定めた行政区を設置する条例案を提出する予定。

 政令指定都市移行に伴い導入される行政区の区割りなどを審議する相模原市行政区画等審議会の初会合が三十一日、同市役所で開かれた。加山俊夫市長が委員に委嘱状を手渡し、区割りと区名について諮問。七月に区割り案を、来年二月に区名案をそれぞれ答申する予定。審議会は産業、福祉、教育、労働などの団体からの推薦委員や学識経験者、公募市民ら計二十三人で構成。牛山久仁彦明治大学政治経済学部教授が会長に選出された。加山市長は「行政区の編成は将来のまちづくりに大きく影響する。さまざまな視点から活発な審議を」とあいさつ。その後、市側が政令市の概要とともに、昨年九月に提示した四つの区割り素案を説明した。今後、四案を二案に絞り込んだ上、さらに詳細に検討していく予定。公募で選ばれた主婦首藤智美さん(34)は「相模原らしい区名など、主婦の立場から発言したい」と意気込んでいた。牛山教授は「行政効率だけでなく、津久井地域にとっての合併効果も考えながら、審議を進めたい」と話した。

両記事とも,政令指定都市移行(岡山市は2009年,相模原市は2010年の移行が目標)に向けての行政区の対応の様子を紹介.岡山市の移行が1年早い分,相模原市にとっては移行行程の直近のペースメーカーともなる.
第一記事では,岡山市での各行政区の区名(5〜6区名からの選択制)に対して募集を行った結果,4つの区割り案に対して「北区」「中区」「東区」「南区」とする案が最も多かったことを紹介.近年政令指定都市に移行した都市においても,同種の区名募集を行っている.名は住民の感覚にあったものが好ましいからだろう.岡山市の行政区画等審議会における提出資料によれば,各都市の応募状況は,さいたま市では44,511通,静岡市では8,756通,新潟市では14,965通,浜松市では9,528通とある*1.2008年2月末に行っていた「区名」の募集を行った第1期の区名募集対する反応が5,587件*2とやや低調であったことからすれば,他市と比べても圧倒的に多くの募集を集めた6万通超の募集は,移行推進の御担当の皆さんの尽力もあってか,市民にとっても政令指定都市への関心が広まりつつあるということか.ただ,集約された区名,やや生真面目(すぎる)区名かなあとも思わなくもないが,最終的な決定の場である行政区画審議会で,これら募集結果の扱いを適切に行えば,先例で見られたこともある市民からの「反対運動」*3も起きることはあるまい.
第二記事では,相模原市における行政区画の審議が開始されたことを紹介.既に相模原市では,2008年1月に区の素案を取りとまとめている*4.同素案では,3区画を2案,4区画を2案の計4案が提案されており,同審議会においては,これらの区案を基に区案の収斂に向けた審議が進められていく模様.これらの区割りにおいても,拠点性,既存行政区域の尊重,出張所機能との関連,効率性,将来のまちづくりの5つの観点から(同素案2頁)提案されている.ただ,実際の所,これら機能論からの区割りという制度設計は重要不可欠であるものの,最終的な区割りという制度選択において他の制度との間の相補性こそが,行政区の区割り決定を拘束しているように思われる.特に,公職選挙法第15条6項にもあるように,市議会議員の選挙区は行政区となることは,区割り決定を左右する.先の岡山市の区割りにおいても,当初の審議会答申(岡山市行政区画等審議会『行政区画の編成等について』(2007年10月20日))では3区割り案であったものが,「議会の対案もあり4行政区を設けることといたしました」*5ともある.これもまた,制度選択上,ペースメーカーから学ぶことができる論点.
なお,個人的には,市長の権限に属する事務の分掌するために設ける「行政区」と市議会議員の「選挙区」を一致することの必然性がよく分からなかったりする.確かに,一致していることで,大都市ゆえの人口の流動性から定数不均衡の是正が生じた場合,選挙区画は変更せず,定数を変更することになり,党派的な選挙区割り(gerrymandering)を回避できる装置となっているともいえるが,よく考えてみたいテーマ.

*1:岡山市HP・第8回行政区画等審議会(2008年2月4日開催)配付資料「参考1先行市における区名選定について」1〜2頁.

*2:岡山市HP(政令指定都市)「政令指定都市移行に向けた取り組み:区名案応募結果の概況

*3:岩崎恭典「大都市のこれから−大都市制度の論点」財団法人東京市政調査会『大都市のあゆみ』(指定都市市長会,2006年)324頁

大都市のあゆみ

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*4:相模原市HP(平成22年の政令指定都市移行実現をめざして)「政令指定都市移行に伴う 区制素案 〜効果的、効率的な制度の構築に向けて〜」(2008年1月)

*5:岡山市HP・第8回行政区画等審議会(2008年2月4日開催)「第8回行政区画等審議会議事録」1頁