環境省が3日発表した2006年度の一般廃棄物の排出・処理状況に関する全国調査で、リサイクル率が全国トップとされた下伊那郡清内路村を含め、データに複数の誤りがあることが6日、分かった。自治体やデータ処理を委託された業者の入力ミスが要因だが、同省も不自然な数値を確認する作業を十分していなかった。近く修正発表するとしているが、ずさんな対応が問われそうだ。
 同省は、国内のごみ総排出量やリサイクル率などのほか、1人当たりのごみ排出量やリサイクル率が上位の市町村を発表。この中で、清内路村はリサイクル率が全国トップの93・3%とされた。前年度から29・1ポイントのアップで、2位の自治体を13ポイント以上引き離していた。数値上、焼却ごみや埋め立てごみがほとんどないことになる。県廃棄物対策課によると、公表前日の夜に同省から結果が届き、担当者がデータの異常に気付いて再確認しようとしていたが、間に合わず公表されたという。その後、村職員が誤った数値を入力し、県を経由して同省に送られていたことが分かった。同村の正しいリサイクル率は56・1%だった。同省は、05年度からデータ処理の委託先を毎年、一般競争入札で決めており、清内路村は「提出する様式が毎年度変わった」(民生課)と説明。入力項目が細かく多い上に、入力段階ではリサイクル率などは分からないため、現場で確認がしづらい事情もあるという。調査は廃棄物行政の基礎となる重要なデータだが、同省は「全国的にも幾つかの市町村の値にミスがあると報告を受け、確認している」(廃棄物対策課)と説明。来年度からは全国順位を事前に確認してもらうなど、ミス防止策を検討するとしている。

同記事では、環境省が毎年実施している「一般廃棄物処理事業実態調査」において、「リサイクル(リサイクル率)取組の上位10位市町村」の入力に誤りがあり、同項目一位であった清内路村ではなかったことを紹介。同調査結果については、環境省HPを参照のこと*1。確かに、同調査結果を見ると、同村の値が他の自治体に比しても高い。経年的な調査であるため、値の変化があれば、少なからずその要因を把握するものと思うが。
同調査結果は、自治体総体としての環境対策を把握するためには有用な調査。調査側・被調査者側双方による調査内容の確認、クリーニングは不可欠と思う。
国家は測定という行為を通じて、「マージナルな存在に強い関心を示し、そうした人々を細かくカテゴリー化し、治療・教育するための知を蓄積されてきた」*2とされる。ただ、そのマージナルな存在への紀律もまた、まずは「ただしく測る」、そして「継続してはかる」*3ことがあってのこと。ただ、政府のみならず各種組織等が、自治体に対して実施する余りにも多すぎる調査が、「調査公害」を招き、自治体側の適切な回答に支障を所持させているのならば、「調査環境」の保全もまた、今後の課題か。

*1:環境省HP(廃棄物処理に関する統計状況)『一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成18年度実績)について』(2008年6月3日)21頁

*2:重田園江『フーコーの穴』(木鐸社、2003年)176頁

フーコーの穴―統計学と統治の現代 (明治大学社会科学研究所叢書)

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*3:瀬田重敏「環境をはかる」阪上孝・後藤武編著『〈はかる〉科学』(中央公論新社、2007年)56頁

“はかる”科学―計・測・量・謀…はかるをめぐる12話 (中公新書)

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