公益法人改革法の12月施行に伴い、社団・財団法人が新たな税の優遇を受けるには今年から5年以内に「公益社団法人」「公益財団法人」に移行する必要がある。この認定に向けて京都府は9日までに「府公益認定等審議会」を設置した。公益性を基準にふるいにかけられるため、府内の522団体は対応を迫られ、戸惑いも広がっている。府が昨年末、府内約300団体に意向調査したところ、約7割が税制優遇措置がある新たな公益法人を目指していた。約2割は未定。解散する方針の法人も3つあった。ただ新公益法人の基準となる「公益目的の事業費が2分の1以上」を満たす団体は33%、「ホームページの開設」も45%にとどまっている。このなかで社団法人の府視覚障害者協会は「新会計基準を導入した。詳しい審査基準を早く示してほしい」と要望する。老人クラブなど模様眺めの団体も多く「職員が少なく新基準に対応できない」と戸惑う声もある。現在、財団法人の京都府職員互助会は「特定の職員を対象としており、移行は難しいだろう」という。文学研究の財団法人ロマン・ロラン研究所は「収入は少なく、税金対策でなくまじめに活動している。できれば移行したいが、基準を満たすのは大変そうだ」と対応を決めかねている。府は今後3年間で対象の全団体に立ち入り調査する。休眠状態や公益性が薄いところは、組織のあり方を抜本的に見直すか、解散を迫られる。府は「これを機に公益法人の情報をオープンにしていきたい」(政策法務課)としている。

同記事では,京都府において,公益法人制度改革を受けて、公益認定等,移行認可等、監督処分等をその所管業務とする「公益認定等審議会」を設けたこと,そして,公益法人改革に対する府内の財団法人・社団法人の反応を紹介.
本年12月以降は,公益社団法人・公益財団法人となるためには,従来の主務官庁許可制度から,民間有識者等からなる委員会に基づく認定制度へと転換される.これに応じて,各都道府県でも,都道府県所管法人に関する認定等を行うために,同記事にもあるように「公益認定等審議会」を置き,市審議を進めている.外部から見えにくい都道府県レベルでの公益法人等の状況が分かりやすくなるため,制度当該制度改革自体には期待が高い.ただ,実際の所,その認定において,各都道府県にはどの程度の判断裁量(いわば,認定の自治度)があるかは関心のあるところ.例えば,東京都の公益認定等審議会では,2007年3月には内閣府公益認定等委員会・委員長宛に以下のような内容を含む,文書を提出している*1

都道府県の公益認定等の尊重
都道府県が所管する法人には、住民に対して直接に事業やサービスを行うものが多いなど、国が所管する法人とは異なった性格や活動を持つ場合がある。都道府県においては、法令に基づき、また国のガイドライン、チェックポイントも参考にしながら、有識者からなる合議制の機関が、様々な地域特性や事業内容を踏まえて公益性の判断等を行うものであり、都道府県が行う公益認定等の考え方を尊重されたい。

法人格付与については,第一期第一次地方分権改革を踏まえて,結果として*2自治事務」に整理されている.その点からすれば,これらの認定等もまた,西尾勝先生の整理概念でいう「自由度の拡大路線」*3上にあることが想定されているともいえる.ただ,東京都の上記意見の趣旨及び含意を忖度すれば,都道府県所管の公益財団法人等の認定等には,「分権・統治型」*4ともいえる「限定された自由」にあることを意味しているのだろうか.もちろん,「公益性」なる基準が都道府県単位で相異があることを受容するか否かという論点はあることにはあるかとは思うが,制度改革の状況と都道府県の動向は今後の観察対象.

*1:第4回東京都公益認定等審議会(2008年5月12日開催)「参考資料4−1公益認定等に関する運用について(要望)」1頁

*2:島田恵司『分権改革の地平』(コモンズ,2007年)68頁,104頁

分権改革の地平

分権改革の地平

*3:西尾勝「四分五裂する地方分権改革の渦中にあって考える」『分権改革の新展開』(ぎょうせい,2008年)3頁

年報行政研究43 分権改革の新展開

年報行政研究43 分権改革の新展開

*4:金井利之「自治体の自治運営」『ジュリスト』No.1358,2008年6月15日号,127頁

Jurist(ジュリスト)1358

Jurist(ジュリスト)1358