岡山市行政区画等審議会の千葉喬三会長(岡山大学長)と兼松久和副会長(市連合町内会長)が12日、市役所を訪れ、政令市移行に伴い設置する行政区の名称を高谷茂男市長に答申した。千葉会長は、答申書を読み上げて手渡し、高谷市長は「これを尊重して決定していきたい」と答えた。また、高谷市長は、区割り問題にも触れ「審議会を無視したわけではない。慎重審議をやっていただいた成果がこうなったと思っている。心配を掛けたり、迷惑を掛けたことをお許しいただきたい」とこれまでの労をねぎらった。この後、懇談に移り、高谷市長は「大きなヤマ場を一つ越えたと思う」と強調。兼松副会長は「ここまで来たら後ろを向いてはいけない。機運の醸成は、われわれもまだまだ努力していかないといけない」と力説した。終了後、千葉会長は審議会を振り返り「難しい仕事だった。想像していたよりはるかに難しかったのが実感」と心境を吐露。区名候補については「無色に近い名前を全部にかぶせることで、新しい行政、リフレッシュすることを市民が選んだと思っている」と話した。今後のまちづくりについては「市民には、新しいまちをつくるきっかけがなかなか出てこない。政令市というキーワードは、すごくいいきっかけになると思う」と力を込めた。
区名選定は2月4日、高谷市長から諮問され、同審議会は、簡潔さ▽親しみやすさ▽各区の特色を表現▽区の一体感醸成▽各区の整合性―を選定基準に設定。「中央区」を使わないことも決めた。同29日から3月14日まで区名が募集され、応募総数は5587件。この時点でも結果は「北」「中」「東」「南」が圧倒的に多かった。これを受け同審議会は4月8日、市民から寄せられた案の中から、上位5位(A区は5位が同数のため候補は6案)に絞り込んだ。区名意向調査は、同28日から5月19日まで、2次候補の中から選択する方式で実施。6万75通の応募があり、目標の5万通を突破した。結果は1回目の区名募集と同じになり、いずれも2位との差が開いていることなどから、今月10日の同審議会であっさりと決まった。今月中にも同市の考えを表明し、11月定例市議会に政令市移行で設置する行政区の名称とエリアを定める条例案を提出する。

同記事では,岡山市において,政令指定都市移行に伴う行政区の名称を審議してきた行政区審議会が,各区の名称をそれぞれ「北」「中」「東」「南」とする答申を市長に提出したことを紹介.以前にも本備忘録でも取りあげた意向調査結果を踏まえて,各区名への公募として最も多い回答を得た区名を採用したこととなる*1.また,翌日には,市長は同審議会の答申内容を受け入れることも表明*2.これにより岡山市政令指定都市移行への決定事項は,同区名に対する疑義が示されない限りは,ひとまずは目途がついたこととなる.
そのようななかで,岡山県では『財政危機宣言』*3を6月2日に示している.同宣言では,「県民サービスにも十分留意しながら,行政の守備範囲そのものの見直しや,官民の役割分担,さらには県と市町村との役割分担といった視点から,あらゆる事業をゼロベースで見直す」とある.これは、市・県間の役割分担の在り方にも新たな影響が出てくる可能性はないかとも少し気にはなる.ただ,これまでの「基本協定書」という既定の同意事項を下に,閣議決定に至るまでは,岡山県と「ペアを組みダンスを踊る」ことが目下の課題.
また,行政区の区名(又は仕組み)が,一重に住民間で認知が広めることができるかは,いわば「土壌としての自治運営の実態」*4次第.これは市側の当分の間の課題.

*1:岡山市HP・行政区画等審議会『行政区の名称について』(平成20年6月12日)2頁

*2:岡山日日新聞(2008年6月13日付)「岡山市の区名案答申 高谷市長受け入れ

*3:岡山県HP『財政危機宣言』(平成20年6月2日)

*4:金井利之「自治体の自治運営」『ジュリスト』No.1358,2008年6月15日号,128頁

Jurist(ジュリスト)1358

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