明治28年の「大部屋主義」と平成20年の「個室主義」

昨日、片道5時間を往復し、高山市さんに聞き取り調査に伺わせていただきました。調査を受け入れて頂いた高山市の皆様、,調査の企画立案・調整・実施をされた日本都市センターの皆様には、大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
今回は現場集合であったため、個人的に集合時間より2時間程早めに到着するよう、列車を乗り継ぎ高山市入りをする。木曽川とともに上りつつげる列車には、ヨーロッパ系と思われる観光客の方々が多く乗車。セントレア空港の影響もあり、アジアを中心としつつ、海外からの訪問が増加されているとのこと。確かに、高山市のまち並みは一見の価値はある。観光資源が豊かなまちは強い。到着後、古いまち並みを見つつも、以前高山市に訪れた際には入ることがなかった、「高山市政記念館」を訪問。この記念館、元来は高山町役場として明治28年に建築された建物。現在では、高山市の成り立ち等に関する各種資料が展示されている。玄関から入り正面にある1階の部屋は「事務所」とあり、当時における町職員の執務空間であった模様。この、一部屋限りが「事務所」となれば、当時から「大部屋主義」なのかと思う反面、それにしては少し狭いのかなとも思う。その一方で、二階にある議場は立派。細く急な13段の階段をのぼると、そこに広がる変形折上格天井は圧巻。1階の事務所との対比でも、当時における議会の風格を感じさせる。
聞き取り調査では、平成17年の1市9町村による合併の結果、わが国で面積としては最も大きな市となった高山市が直面する各種行政管理及び行政機構の現状・課題等を中心にお話を伺う。何れも大変勉強をさせていただきました。調査結果は、早々に公開できればとも思うものの、概要は年度末頃の公開予定。個人的には、係制の廃止(フラット化)とグループ制導入による執務形態への効果を大変深く拝聴させて頂きました。現在の高山市の庁舎は、平成8年に建設された建物。この綺麗な建物中で、執務空間としても「大部屋」、執務形態としても「大部屋」ではあるものの、執務形態では個々の職員の業務分担が比較的明確になりつつある(いわば「個室主義」*1の執務形態が現れつつもある)ともいう。従来から、直感的には職員の皆さんの執務形態には職員個々人での処理・対応する範囲が高いのではと思い観察していたことから、今回の指摘は興味深い内容と思う。これについては、観察事例を増やしつつ、少しまとめてみたいテーマ。
終了後、列車の時間まで、調査の企画者の皆さんと「JAひだグループ焼肉ハウス味蔵天国」で飛騨牛を食す。最近では、余り牛肉を食べる食生活にはないものの、飛騨牛は美味しく、お話も楽しく過ごさせていただきました。

*1:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)183頁

ホーンブック 地方自治

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