佐賀市は新たな自主財源確保策として、市役所や市立施設にある飲料水など自動販売機の設置料を定額制から入札制に切り替えることを検討している。継続的な歳入増が見込めるだけに、来年度の契約から順次、導入していく方針。
自動販売機は現在、市役所や市立施設に170台設置している。このうち、使用料を徴収しているのは89台で、占有面積や売り上げによって使用料は異なるが、定額制で年間約223万円の収入がある。従来は設置事業者に1年ごとの目的外使用許可を与えたが、地方自治法の改正で、施設内で余っているスペースの貸し出しが可能となった。このため自動販売機設置区画を貸付契約に変更し、利用者の利便性向上にも配慮しつつ、競争入札で決めることにした。歳入増の具体的試算はこれからだが、田中敬明総務部長は「市の施設は市民の財産。可能な場所から順次、導入を進めたい」と話す。入札制を導入している大阪府では、539万円だった329台の設置料収入が、3億15万円と大幅に増えている。

同記事では,佐賀市において,現在庁舎内に設置されている各種自動販売機の設置料を,定額制から入札制に改めることを検討していることを紹介.構造改革特区提案や,市町村合併行政改革により庁舎内に「空きスペース」が生じつつあり*1,その有効活用などをはかるために,2006年の地方自治法改正(第238条の4第4項)に伴い,行政財産の貸付範囲が拡大.これにより庁舎等の床面積又は敷地に余裕がある場合,民間事業者等に対して貸付けが可能となったことを受けての検討.同記事にある,大阪府の50倍以上の増収には驚き.自動販売機の設置みならず,例えば,東京都では*2,来庁舎者用駐車場の24時間営業のコインパーキング化がある.その他にも,各自治体で種々検討や取り組みをなされているのだろうか.公有財産管理は,その重要性を感じつつも,未踏の領域.そのためか,同記事の内容も,「自治体空間としての庁舎観察」としては興味深い取り組み.今後も,経過観察.
むしろ,自治体の現場から見れば,老朽化にともなう更新や修繕こそが急務な課題ともいわれそうだが*3,その財源の一部にも成りうる有効利活用を行うには,各所管部局等が保有する行政財産を統一的に把握することが前提.意外と有効活用という観点からの行政財産の一元的情報管理は進んでいないのではないだろうかとも思う.この点も課題か.

*1:彌栄定実・佐久間寛道「地方自治法の一部を改正する法律について(中)」『地方自治』No.705,2006年8月号,22頁

*2:東京都・財務局HP(公有財産情報)「全国初 行政財産の貸付による利活用を実施(2007年6月19日)

*3:「橋,校舎,水道が危ない−インフラ更新投資,自治体財政を直撃」『日経グローカル』No.102,2008.6.16,9頁