福岡市は、厳しい市財政を少しでも改善しようと、庁舎など公的施設を活用した広告料収入の確保に本腰を入れ始めた。城南区役所は7月1日から、窓口カウンターに広告を掲示する。市によると、横浜市大分市で窓口カウンターを使った広告の例はあるが、県内では初めて。今後、福岡市役所庁舎のエレベーターの中や扉にも広告を掲示する予定で、市はこうした広告料収入を新たな財源として注目している。
 城南区役所は、窓口業務を行う1階カウンターの下部を広告スペースとし、高さ0.73メートル、幅4.76メートルの広告枠を2カ所設ける。さらにロビーに設置しているディスプレーで、市の行政情報と交互に企業のCM映像を流す。同区役所での広告料収入は本年度で96万円を見込み、既に区役所近くのスポーツクラブや不動産会社などと契約を結んだという。同市は2年前、広告事業を統括する担当ポストを新設。広告料収入を稼ぐ分野の開拓に力を入れている。これまで、中央区役所に屋外広告塔を設けたほか、市役所や市立こども病院・感染症センター(中央区)の受付のディスプレーで企業CMを流すなどしている。昨年度の同市の広告料収入は約7800万円(一般会計見込み額)。本年度は、博多の森球技場命名権契約を結んだこともあり、1億2000万円に届きそうな見通しという。市広報課は「1つ1つの収入額は小さいが、財政に少しでも貢献できれば」と話している。

同記事では,福岡市において,窓口カウンターへの広告を掲載し,広告料の確保を進める方針であることを紹介.広告料収入は,自治体にとっての「稼げる財源」となるのか.
では,広告料はどのように確定するのだろうか.同市の「福岡市広告事業実施要領」第6に「類似した広告の掲載等に係る市場価格や他の契約事例、広告代理店の意見等を勘案し」とある.いわば「公民準拠・均衡」原則*1の模様.市役所の窓口は,広告媒体としての価値は,他の民間窓口に準拠で済む額なのか(はたまた,準拠にも至らないのか),判断が難しいところ.ただ,勘案される「広告代理店の意見等」自体の審査はどのように行うのだろうか.
なお,価格設定次第では収入増加を期待できそうではあるものの,野放図に広告掲載もできない.どのような意匠であればよいのか.当然,同市でも掲載対象となる広告には要件を設けている.そして,掲載される広告内容審査としては,同市の「福岡市広告事業実施要綱」を見てみると*2,原則的は各市区で行い(第9条),資産を持つ各市区から「広告掲載内容等に関して局区の判断では疑義を生じる場合の掲載の可否等に関する審査」要請があった場合には,「福岡市広告事業審査委員会」で審査,各市区へ報告することとされている(第10条第1項).そこで,「要領」を見ると第11では,比較的ネガティブチェックに近い模様.同「要領」第16では,個別事業者毎に広告形態を指定していることも興味深い(この場合も,他の各業界団体,関連団体,関連省庁等の基準採用を求めていることからすれば,これは「官公準拠・均衡」とも言えなくない).
以前,本備忘録でも見たように自治体が広告掲載を行う以上,他事業者に対する公平性や美観の観点から,横浜市や東京都のようなポジティブチェックも置いても良いのかと思う.

*1:西村美香『日本の公務員給与政策』(東京大学出版会,1999年)2〜3頁

*2:福岡市HP(広告事業・広告に関する基準など)「福岡市広告事業実施要綱・要領