自治労が29日発表した地方自治体職員の勤務実態調査で、臨時雇いや非常勤などの非正規職員が全体の27・8%を占めることが分かった。非正規職員の80%程度は「年収200万円以下の官製ワーキングプア(働く貧困層)に該当する」とみられる。
地方財政の悪化を背景に「職員定数や人件費が削減され、自治体が直接供給するサービス総量に対し、安価で入手しやすい労働力で補わなければならなかったから」と自治労は指摘している。 調査は、全自治体に6月1日現在の非正規職員数や待遇などについて質問。全体の53・1%に当たる23都府県と963市区町村から回答を得た。その結果、回答を得た自治体の職員107万1496人のうち、29万7571人が非正規職員だった。自治労は未回答の自治体を含めれば、「非正規職員は全自治体で50万人を超える」と推定している。非正規職員の収入に関しては「賃金の約65%は日給・時給型で、その半数は時給(換算で)900円未満。残りの月給型も約55%は16万円に届かない」といい、自治労は全体の約80%が年収200万円以下と分析している。

同記事では,「自治労」において,自治体職員の勤務実態調査を実施した結果,非正規職員が調査回答自治体のうち27.8%を占めていることを紹介.都道府県と市町村では,それぞれ業態の差異もあり,非正規雇用の採用度は異なるかとも想定されるが,同調査ではどのような結果が出ているのだろうか.「自治労」HPには,現在のところは,同調査結果が掲載されていないようであり,把握できず.残念.
ただし,同種の調査は,読売新聞が実施し,過日報道されている.同紙の調査は*1,対象がやや限定的であり47都道府県,17政令市,東京23区,県庁所在市としている.その結果,今年度分の非正規職員数を把握していたとされる,104自治体(38都道府県,66市区)から回答を得ており,同紙調査結果では,都道府県は平均15・5%,市・区は30・9%との結果となる.市・区側でその割合が比較的高いといえる.恐らくは,回答自治体の何れも,正規職員を始めとして母数(全職員数)が減少するなかでの同調査結果かと思われ,同数値がもつ意味については,定点的な数値と処遇にとどめることなく,「自治体により対応にばらつきがある」*2ともいわれる非正規職員の労務実態とともに,現在の自治体が行う業務形態全体の特性を加味したうえで,1月25日付の本備忘録でも触れた「公務」の「オーバーホール」と人事制度設計の観点から更に観察・検討を要する課題か.

*1:読売新聞(2008年9月21日付)「自治体で進む人件費削減、非正規職員が25%に

*2:布施哲也『官製ワーキングプアー』(七つ森書館,2008年)143頁

官製ワーキングプア―自治体の非正規雇用と民間委託

官製ワーキングプア―自治体の非正規雇用と民間委託