八王子市は今月から、こども家庭部の「こども政策課」を「子どものしあわせ課」に名称変更した。八月三十一日に開かれた「はちおうじ子ども議会」での、子ども議員からの提案を採用した。
子ども議会では「子どもの目線を大切にして意見を取り入れてもらえれば、子どもと大人が協力し合える」と、市内の小中学生が提案。黒須隆一市長は「子どものしあわせ課をつくります」と回答していた。市長の答弁を受け、管財課職員が急きょ、看板や案内表示の付け替えを実施。職員の手作業のため、予算はほとんどかかっていないという。子どものしあわせ課職員は「これまで以上に子どもの視点を意識するようになりました」と話している。(布施谷航)

同記事では,八王子市において,議会提案を受けて,従来の「こども政策課」の名称から,「子どものしあわせ課」へと変更したことを紹介.寝ぼけつつ斜め読みしたため,「すわ,機構改革に対する議員からの「口利き」か」,「市町村の部課に関する条例の発案権は「原則」「長に専属」 *1とされるため,部以下の組織機構についてもまた,首長の専権事項なのでは」と思いつつ,よく読むと「子ども議会」からのご提案の模様.同記事にも紹介されている,名称変更を通じて,「GNH(Gross National Happiness,「国民総幸福」」*2)ならぬ,自治体における「総幸福」といえる「GCH(Gross Civil Happiness,「市民総幸福」)」の広がりに結びつくのであれば,首長の部以下の機構については「規則事項」であることで,柔軟な対応がとれた一例となるか.
なお,蛇足.部課の設置に関しては首長の専権事項とする「原則」は,各条項の主語が首長であるものについては,提案者は首長にあるという行政実例(行実25.5.8)を根拠とされるが,よくよく考えてみると,第158条の「内部組織」の設置自体が「条例事項」であることの今日的な意義がよく分からない部分も残る.もちろん,規範的な観点からは,議会統制としての「条例事項」とする論理も分からなくもないが,そうであれば,提案権自体を議会側にはないとする「運用」への不均衡さを感じる.一方で,現実的な観点からは,議会における組織条例に対する「拒否権」(veto)の発動状況を把握していないため議会の意思表示の実態がよく分からない部分も残るが(要観察対象事項),例えば,議会側において同条例に対して「拒否権」(veto)が発動された事例が限られているのであれば,むしろ議会統制の対象外とする「運用」が広がっているとも考えらなくもない.そうすると,制度上も,「内部組織」を一括して「規則事項」とすることがより明瞭ではないかとも考えられるが,どうなのだろうか.

*1:佐藤和寿「条例・規則の制定,改廃手続」門山泰明『条例と規則』(ぎょうせい,2003年)115〜116頁

最新地方自治法講座 (2)

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*2:今枝由郎『ブータンに魅せられて』(岩波書店,2008年)160〜169頁

ブータンに魅せられて (岩波新書)

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