野呂昭彦知事は十日の定例記者会見で、県議会の調査機関「財政問題調査会」が議長に提言した第一次答申について、「委員の方が三重県のやっている財政運営のやり方を詳しくご存知とは思えない」と疑問視し、「議会としてどのように受け取られ、どういう議論をしていくかを注視したい」と述べた。
 野呂知事は「見識ある方にかなり広範な角度からご報告をいただいている」と評価したものの、県民らへの包括的な財政報告書「アカウンタビリティレポート」の作成で提案された、県財政運営の基本方針、分析、県政策・施策別コストと成果達成の概況などの内容は、「すでに三重県としてすべてやっている」と反論。「やっていることをご存知なくて、あのような提言をされたのか」と批評した。

同記事では,三重県において,同県議会に設置された「財政問題調査会」が提出した『第一次答申』を議長が受け取り,同答申内容に対して同県知事が言及したことを紹介.同県議会の「財政問題調査会」については,同県議会HPを参照*1
同調査会が提出した『第一次答申』*2では,「健全化判断比率の算定・審査プロセス、財政分析,債務管理計画など執行機関の取り組みに係る課題とその対応方策等」(1頁)に関して審議を行い,「三重県独自の健全化判断基準の設定」(4〜6頁)「債務管理方針の策定」(6〜8頁)「三重県アカウンタビリティレポート」(8〜9頁)の策定等を提案している.主に執行部における対応を求めるようにも読めなくもないが,何れも主語は(つまり,策定等の主体は)「議会が」ということなのだろうか.諮問側である議長であることからすれば,同答申を受けて実施するのも「議会」と考えることが適当なのだろうか.ただ,何れも議会において策定・公開されるとなれば,同記事の知事発言の趣旨を踏まえると,同県民にとっては判断資料を複眼的に持つ機会になり,県政の財政運営に対する判断領域が広がる機会にもなるようにも思われる.
なお,同調査会は,同県の議会基本条例*3第13条(「議会は,県政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは,議決により,学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる」)を根拠に設置された調査機関.地方自治法第138条の4第3項(執行部への附属機関設置)とも関連して,議会において附属機関を設置することに関しては,「附属機関の設置はなじまない」との総務省による地方自治法解釈が示されてきた*4.ただ,上記の答申等を拝読させて頂く限りでは,機能的には附属機関とも思わなくもない部分もある.同調査会もまた「名ばかり委員会」と整理することが適当なのだろうか.考えてみると難しい(執行部における諮問機関における,制度と機能の乖離状況については,6月13日付本備忘録6月26日付本備忘録6月30日付本備忘録等を参照).同調査会は,過去の報道からも*5地方自治法法第100条の2にいう「専門的知見の活用」に該当するとの解釈により設置されたものと想定されるが,同条例の制定状況での解釈等に関して,全く経過観察して来なかったこともあり,正確にはよく分からない.連休明けにでも,当時の文献・資料等を要確認.