県議会政策総務常任委員会(舘直人委員長、九人)は二十八日開き、平成二十一年から二十六年まで六年間にわたって展開する地域づくり事業「美(うま)し国おこし・三重」基本計画案について、修正案を作成した上で採決することで一致した。基本計画は、これまでの委員会や公聴会参考人招致で疑問視する意見が相次ぎ、事業の実施が危ぶまれていたが、修正案を可決して実現する方向に大きく前進した。
 委員会では、事業を主催する県や市町、民間団体などでつくる実行委員会(会長・野呂昭彦知事)と県の役割の明確化、市町の裁量権の明示、六年間中の単年度工程管理の必要性、事業費の基本計画案からの削除などを反映した修正案の作成を、舘委員長と小林正人副委員長に一任。委員から異議はなく、基本計画に修正を加え、事業の実施を認める方向で一致した。十一月五日に委員会を開き、修正案を採決する方針。村林聡委員(自民・無所属、一期、度会郡選出)は「計画の総論、考え方自体は賛成」と表明したが、二十二日に河上敢二熊野市長と石原正敬菰野町長を参考人招致した委員会で事務的負担を市町に強いる一方、裁量権がない不満などが出た事態を問題視。「協働すべき市町からあれだけの意見が出たのは、非常に重いこと」と指摘した。西場信行委員(自民・無所属、七期、多気郡)は実行委員会について、県の主体性の明記を求め、藤田正美委員(想造、五期、度会郡)は六年間の期間中、単年度の工程管理を主張した。奥野英介委員(県政みらい、一期、伊勢市)は「社会実験と考えるのは、おもしろいかなと思う」と述べる一方、市町の財政負担が計画に盛り込まれているのは「法的に問題はないにしても、人の財布に手に入れるのは道義的に問題」と批判した。藤本和弘・政策部理事は、市町の反発について「時間的に焦っていた部分があり、気持ちが先行し、ひとえに説明が足らなかった」と釈明し、「今後、市町と丁寧に話し合い、協力を得ていきたい」と答えた。

同記事では,三重県が取り組む「美し国おこし・三重」に関する基本計画において,計画案に対して議会が修正のうえ,採択する方針で一致したことを紹介.
同日付の毎日新聞*1や読売新聞*2とは,同紙が描く風景が少し異なるようにも見えなくはないが,各紙による筆触の相異によるものなのだろうか.同常任委員会では,10月22日に同県議会では52年ぶり*3公聴会*4を開催したところ,首長,学識経験者ら種々の意見が示された*5なかでの,計画修正の模様.
記事の対象となっている「美し国おこし・三重」については,同県HPを参照*6.確かに,同県では「三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例」*7を制定されており,地方自治法第96条2項に基づく議決事項として基本計画は追加がなされてはいるものの,地域活性化「事業」をも議会審議の対象とするのは何故かとも思いつつ,同県議会HP等を拝見させて頂く.すると,同事業に対する説明を受けた全員協議会において,議会から「財政的に多大な負担を伴うことが懸念」との判断を示されたとある.具体的には,「三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例」の対象となる県行政の基本的な施策に係る計画を早急に議会に提出すること,当該事業の年度別支出予定額を明らかにすること,事業の主要な主体である市町との合意形成を十分に図ることを要請され*8,今回の基本計画の策定,審議に至っている模様.議会が議題設定者となっているともいえるのだろうか.同記事からも,制度と政策位置を想定した場合,議会は拒否権プレイヤーの中心としていることよりも,議題設定能力を議会側が持つこと*9が,位置的裁量権をもつためにも適当ということか.