自治学院の職員政策研修の成果発表会が25日、宮崎市で開かれた。県の重点施策の「中山間地域対策」をテーマに、西米良村五ケ瀬町で現地視察や地域住民へのヒアリングなどから地域の現状を調査、「特産ゆずの六次産業化」などの活性化策を提言した。
 研修生は、30歳代から40歳代前半の中堅職員27人。4グループに分かれ、7月から研修開始。大学教授らが研究指導した。西米良村のグループは、村の地域資源で主要品目のゆずに着目。ゆずと西米良産地頭鶏(じとっこ)をセットにした商品販売などを、主産業の建設業の「新分野進出」として促進する「六次産業化」などを提言した。五ケ瀬町のグループは、産業振興を目的に県と西臼杵3町が出資する公益法人中山間地域支援機構の設立」の施策を提案。健康改善ツアーなどの都市との交流事業や、特産品開発などを推進する、としている。
 この日は、黒木定蔵西米良村長や飯干辰己五ケ瀬町長、大学生ら約100人が出席。飯干町長は「提案を町の総合計画に反映させていきたい。中山間地域支援機構は良い提案で、地域の活性化になりうる」と評価した。研修した県職員は「住民の生の声を聞き、中山間地域になぜ後継者がいないかなどを肌身に感じた」と感想を語っていた。

同記事では,宮崎県の自治学院において,職員政策研修の成果発表会が行われたことを紹介.
同記事にある「自治学院」とは何だろうと思い,同県HPの行政組織規則を会見させて頂くと,正式名称を宮崎県自治学院といい,「県職員及び市町村職員の資質向上並びに勤務能率の発揮及び増進を図るため,自治学院を置く」(92条)*1とある.これは2008年年規則全部改正により,同県の職員研修所が名称変更された模様(新手の進学予備校かとも思いました).
稲継裕昭先生による各種アンケート調査結果に基づく観察結果からは,「職員のなかには,研修所研修をむしろ「役に立たないもの」「うけたくないもの」と感じているもが少なくない」とあり,「研修所で行われる講義形式の研修に対しては,職員からの消極的な意見が多く寄せられている」状態にあるともいう.そこで,職員自身による「能力開発や自己啓発,そして,それを刺激する職場における仕事を通じた能力開発」を「支援していく」*2ことが研修所研修にも求められているともされる.そのため,「答えのない研修」「モヤモヤ感の残る研修」(117頁)を通じて「自学」の涵養に結びつくともいう.2月8日付の本備忘録でも取り上げた,職員政策提案型の職員研修は,特定の政策課題に対して「答えなるもの」を明示化にこそ主眼があるようにも考えられるが,研修後の「モヤモヤ感」はそこにはあるのだろうか.
個人的には,同記事に紹介された,「提案を町の総合計画に反映させていきたい」と五ケ瀬町長のご発言に関心.財団法人日本都市センターによる,全国の市区に対して,2007年度(2007年11月〜2008年1月)に実施したアンケート調査(回収率74.0%)*3では,市長・区長が政策課題に対応するために新たな知識や技術をどのように取得しているかを尋ねている.その結果,「自治体職員からの説明・報告」が最も多く78.2%,次いで,「特定の政策課題に関連する一般書籍・マニュアル本」が57.2%,「各種のシンポジウム」が54.4%の順となっている.同調査は,市長・区長に限定されたものではあるが,比較的「説明・報告」経路,「研修会・後援会」経路のような,耳から入る情報経路の比率は何れも高い結果にある.直感的には理解できる結果となっている.これらの直観が共有化されているからであろうか,「「セールスマン」は知事の仕事」*4を自認されてきた同県知事のもとでの「補助機関」たる職員さん達であるためか,「トップによるセールス」のみならず,同報告会の機会が耳を通じた「トップへのセールス」する仕組みにもなっており,興味深い.

*1:宮崎県HP(宮崎県法規集(平成20年3月31日現在))「宮崎県行政組織規則」(平成10年3月31日規則第15号)

*2:稲継裕昭『プロ公務員を育てる人事戦略』(ぎょうせい,2008年)85〜87頁

プロ公務員を育てる人事戦略―職員採用・人事異動・職員研修・人事評価

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*3:財団法人日本都市センター『分権型社会の都市行政と組織改革に関する調査研究』(2008年3月)15頁

分権型社会の都市行政と組織改革に関する調査研究-市役所事務機構アンケート調査結果報告-

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*4:東国原英夫『知事の世界』(幻冬舎,2008年)110頁

知事の世界 (幻冬舎新書)

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