川崎市の市営駐輪場の料金体系などを検討する「自転車等駐車場利用者の適正な負担のあり方検討会議」は10日までに、中間取りまとめを公表した。買い物客の利用が多い駐輪場は2時間まで無料とするなど、弾力的な料金運用を提言している。
 2008年8月に設置された検討会議は学識者や鉄道事業者、県警、町内会・商店街関係者ら16人で構成し、08年度は4回の会議が開かれた。中間取りまとめでは、基本方針の「料金の弾力的な運用」と「適正なコスト範囲の設定」について考え方を示した。料金運用では、施設の特性に応じた1日利用料金を設定するため、(1)基準額(2)周辺環境・施設特性による格差(3)車両の補正―の各要素を基に算出すべきだとしている。現在は一部を除き屋根付きが100円、屋根なしが80円で運用しているが、駅からの距離などに応じて50〜200円程度の範囲で料金を設定する考え方を提示。オートバイについては駐輪スペースに応じた料金設定とすべきだとしている。また、買い物客などが多く利用する駐輪場については回転率を高めるため、2時間まで無料とする考え方を示している。
検討会議は年内に最終取りまとめを出す予定で、これを受けて市は、市民からの意見募集(パブリックコメント)を実施するなどして、11年度からの新たな料金体系運用を目指す。

同記事では,川崎市に設置された市営駐輪場の料金体系に関する検討会議が中間取りまとめを行ったことを紹介.同中間取りまとめの内容については,同市HPを参照*1
具体的には,まずは「コストへの充当範囲の設定」として,「駐輪場の管理運営,新規建設費用等は,利用者が負担すべきものとみなし,今後は「維持管理費等+補修費等+建設事業費の一部」を利用者負担とする」(2頁)として,施設整備・管理等費用への利用者負担を明記.次いで,同記事でも紹介されている「料金の弾力的な運用」として,「通勤・通学等の1日利用を基本とする駐輪場の利用料金は、【基準額】,【周辺環境・施設特性による格差】,【車両の補正】の各要素を基に算出すること」(3頁),「利用実態に即した短時間利用料金の設定」(4頁)すること(2時間まで無料を基本,回転率が高い料金体系とすること),そして「駐輪場の利用促進を目指した定期割引の設定」として,「実施する割引は,「定期割引(全利用者対象)」のみを基本として考え」,「割引率は,「1日料金設定後の利用料金」×「15〜20日分」を基本として考える」(5頁)とある.その他にも,「駐輪場利用率の平準化」として」今後の状況変化や利用率に応じ,料金を変更できるシステムを構築」(6頁)することが提案.いわゆる「ピークロード料金」*2の発想に近い模様.
「温暖化ガス15%削減」*3の中期目標設定との直接的な関係性は不確定ではあるが,2009年6月10日付の朝日新聞で紹介された,国土交通省による「エコ通勤」を「積極的に取り組む企業や自治体を「優良事業所」と認証する制度」*4の導入や,2008年8月8日付の本備忘録でも取り上げた「職員の通勤時の自動車利用の自粛要請」の取り組み,更には,2009年6月5日付の読売新聞が報道した,たつの市による「地球温暖化を防ごうと昨年導入した公用車代わりの自転車「エコチャリ」の利用実績」*5等のように,その利用拡大を促されている自転車.ただ,利用の際に停留させるための空間についての議論もまた相補的な関係性にあるとも考えられる.つまり,自転車利用が拡大した場合でも,放置自転車という外部効果も想定される.そのため,自転車停留空間のための用地確保とその後料金設定もまた,自転車利用拡大路線の片輪となる議論.しかし,停留空間整備・管理のためには利用者へのコスト負担もある一方,そのサンクコストが高ければ,そもそも自転車利用の選択もまた「自粛」する虞もある.悩ましい課題.