熊本市との合併の是非を問う城南、植木両町の住民投票は28日投開票され、いずれも賛成票が有効投票数の過半数を占めた。2町との合併が実現すれば、熊本市の人口は約72万8千人となり、2010年3月までの合併特例法下で緩和されている政令指定都市の人口要件「70万人程度」を超える。同市は「政令市移行に大きく前進した」としている。
 投票結果は▽城南町=賛成6782票、反対5844票(投票率79・53%)▽植木町=賛成1万591票、反対7493票(同74・00%)。植木町投票率は昨年の住民投票を、城南町は前回町長選を上回り、関心の高さを示した。
 2町の住民投票条例は、町長と議会に投票結果を尊重するよう規定。八幡紀雄城南町長、藤井修一植木町長は7月に臨時議会を開き、来年3月23日に合併するとの廃置分合案を提案する意向を示した。熊本市は、城南町とは昨年10月、植木町とは同12月に合併協議会(法定協)を設置し、今年5月までに協議を終えた。城南町は法定協終了後の住民投票実施を決めていたが、植木町では合併に反対・中立の町議が廃置分合案審議に先立つ住民投票を議員提案。2町同時投票となった。
 住民投票は23日告示。両町では住民グループが主軸となって運動を展開した。賛成派は「政令市になって一体的発展を」、反対派は「吸収合併されれば町は周辺部になり廃れる」と訴えた。熊本市政令市に向け、08年10月に富合町(7962人、05年国勢調査)と合併し、人口は67万7565人。益城町が今年4月の住民投票で反対多数となり、合併を断念した後は、合併特例法の期限が迫る中、城南町(1万9641人)、植木町(3万772人)との合併実現に全力を上げてきた。当日有権者は▽城南町1万6009人(男7581人、女8428人)▽植木町2万4538人(男1万1579人、女1万2959人)。(渡辺直樹

同期時では,城南町,植木町において,熊本市との合併をめぐる住民投票結果を紹介.同住民投票の結果については,各町HPを参照(ただし,植木町は,現在迄の所,未掲載の模様,残念)*1.両町ともに合併への「賛成」票が過半数を占める.2008年3月2日付の本備忘録では,熊本市政令指定都市移行スケジュールを,下名が,「2010年度移行」と「勝って」に見立てていたものの,同市では,まずは,2010年3月迄に新市へと移行*2を行い,2012年4月*3に,政令指定都市へと移行を予定されている模様(大変失礼いたしました).今後,移行に向けた残されれた時間としては2年半間と,過去の移行事例からすれば,長すぎず,短すぎずの予定か.
ただ,2012年4月移行については,政令指定都市への移行要件を満たすことになるのだろうか,と少し疑問.第29次地方制度調査会では,「平成11年以来の全国的な合併推進運動については,現行合併特例法の期限である平成22年3月末までで一区切りとすることが適当」*4と判断が示された市町村合併政令指定都市への移行要件の「事実上の標準(de facto standard) )」であった要件の「緩和」もまた「一区切り」されるのだろうか.ただ,区切られた場合の標準の行き先はどうなるのだろうか.下名個人的には,「事実上の標準(de facto standard) 」と「法定上の標準(de jure standard) 」との乖離状況が継続することは上手く整理ができないものの,2011年度からは「事実上の標準(de facto standard) )」とされてきた「人口100万」へと再帰されるのだろうか.ただ,「事実上の標準(de facto standard) 」を「法定上の標準(de jure standard) 」へと「緩和」(?)することが素直であり,また,時代状況から同制度への移行要件が,標準としては不適当と判断されるのであれば,今回の「一区切り」の際に,いっそのこと,「法定上の標準(de jure standard) 」を「事実上の標準(de facto standard) 」へと厳格化(明確化)することが,「自治体業界内の内輪の論理」とも喝破される「「昇格」というミイラの呪い」*5から逃れるうえでも,分かりやすいようにも思わなくもないが,どうだろうか.