過疎に悩む那賀町で、男女の出会いをサポートする住民団体「縁むすびの会」が成果を挙げている。2006年4月の結成から3年で9組の結婚を実現した。初出産の知らせも今冬には届きそうで、世話人たちは予定日をわがことのように待つ。ただ、町内に住むカップルは1組だけ。同会は「理想は那賀町定住だが、結婚・少子化対策は県全体の課題なので、やりがいに変わりはない」と気持ちを切り替え、今後の活動に意欲を見せている。
 「名札は見える場所にな。見えんかったら何にもならんよ」「コーヒーやお茶もあるけん、好きな人に入れたげてよ」。4月26日、那賀町大久保の日野谷コミュニティーセンターに男女25人が集まった。山菜料理を作りながら出会いを演出する企画。「黙っとらんと、もの言いながらしなよ」。おせっかいを焼く世話人の声に、次第と場は和んでいった。会の発足は、独身の30〜40代の息子や娘を持つ女性数人が「いい出会いの場はないか」と集まったのがきっかけ。現在、町内外の男女265人が登録会員となっている。結成以来、ボウリング大会、ミニ運動会、バーベキュー、散策、コンパ、ブドウ狩りなどのイベントを毎年5回企画。毎月第2水曜、第4土曜には町内で相談室も開いている。
 07年2月に1組目でゴールインした湯浅延史さん(44)=会社員、旧上那賀町出身=と正恵さん(40)=公務員、旧鷲敷町出身=夫妻は、那賀町内に住んでいる。2人は「会がなかったら、今も結婚していないかも」。延史さんは「仕事と結婚が田舎ではネック。僕自身、仕事には就いたけど、いい出会いがなくて、なかなか結婚できなかった。会の活動に感謝している」とも話す。「出会いが少ないからか、那賀町の若い男性はしゃべりの苦手な人が多い。話しかけるように背中を押すのも大変なんだから」と笑う「縁むすびの会」の西谷幸子会長(58)=那賀町百合、パート勤務。「1年間で1組を目標にしていたけど、思った以上の実績に世話人も燃えて、いよいよ張り切っている。赤い糸をどんどん見つけたい」と意気込んでいる。

同記事では,那賀町において,同町の住民団体を通じた「縁むすび」が成果を挙げていることを紹介.同活動については,同町HP内に掲示されている同団体HPを参照*1.同町HPに掲載されていることから推測されるように,同取組については,同町の企画情報課の「縁むすび推進員」が事務局を勤められた「官民一体」とのこと.
昨日,別件でご教示いただいた関連文献を拝読すると,「初婚率は一貫して低下してきたが, あらゆる出会いの結婚が生じにくくなっているわけではない」としつつも,「見合い結婚と職縁結婚の減少のみが全体の低下に効いていそう」*2との現況にあるという.内閣府に設置された「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」では,少子化の観点から,2009年6月に「提言」をまとめ,同提言内においても,「地方自治体の施策としては,「結婚支援」は確実に重要な位置を占めつつあるように思われる」との見解とともに,「これまでの少子化対策は,主として「子育て支援策」を中心に取り組まれてきた」として,「その重要性は変わらないものの,今後は,さらに視野を広げ,「恋愛・結婚」をめぐるデータの集積,現状分析と評価,政策的対応のあり方等について,議論を深めていくべき」*3とする.少子化対策と結婚支援の関連性については,下名自身は整理は出来ていないものの,2009年6月29日付の東京新聞により報道された品川区の取組*4のように,結婚支援への行政の関与の機会は,地域を問わず見られる模様.
特定行政分野では,「公共空間」における「行政空間の縮減」*5との分析結果がある一方で,結婚支援については,行政空間へと(再?)「進出」(循環)している動態としてみまた興味深い.