横浜市は3日、2008年度に定年退職した職員の再就職状況を公表した。区・局長級22人のうち15人が市住宅供給公社など外郭団体(市出資比率25%以上)の役員になったほか、残る7人も横浜アリーナなど市と関係の深い企業・団体の役員などに就いた。課長級以上(学校長を除く)の退職者147人のうち、122人が外郭団体などに再就職したが、市の紹介を通さず独自に就職先を見付けたのは9人だけ。厳しい不況下で横浜市の「天下り天国」ぶりが浮き彫りになった。
 市は、市会をはじめ市民から批判が絶えない中でも、「外郭団体などから人材が求められている」として、市幹部の「天下り」を容認。外郭団体からの求人票、退職者の求職票を調整して紹介するマッチング業務を行っている。「最終的には団体側が面接して採用が決まる」と説明している。08年度退職者では、区・局長級22人全員、部長級は38人中32人、課長級は87人中68人が再就職したが、自ら就職先を探したのは、区・局長級1人、部長級5人、課長級3人にとどまった。
 再就職先の内訳は、市資源循環公社、市体育協会、帆船日本丸記念財団など外郭団体が37人(区局長級15人、部長級9人、課長級13人)。また、市交通局協力会、市大、市老人クラブ連合会、各区の区民利用施設協会など「その他」が62人。その他では、市出資比率が低いだけで、事実上は外郭団体と言ってよい団体や、市と関係の深い企業・団体などが並ぶ。07年度との比較では、外郭団体への再就職が区・局長級で3人増加。課長級以上全体では5人減少。独自就職は1人減った。

同記事では,横浜市において,2008年度の定年退職者の再就職状況を公表したことを紹介.同記事でも紹介されている同市の採取職状況については,同市HPを参照*1
「官僚のインセンティブをどのように確保するかという観点も維持しながら,どこまで天下り規制を強化するかは難しい問題」*2と,単に「病理現象」として捉えるのではなく,国家公務員制度内に内在する「生理現象」として,職務に対するインセンティブとの関連から分析される,国家公務員レベルにおける「天下り」という行政現象.
方や,2008年8月6日付の本備忘録でも取り上げた同種の情報提供の取組.自治体レベルにおける退職管理のなかでは,「退職後に「天下り(再就職)」を周旋することも,ないわけではない」*3とも観察されており,「インセンティブ」効果の有無による分析に先立ち,同現象が,自治体行政においてもまた「生理現象」であるのか否かの把握がまずは必要といえそう.各自治体が設置(又は関与)する各種団体の存在次第とも想定されるが,まずは,上記情報が公開されている一定規模の自治体を対象に,その退職時の職と退職団体との関連性の把握は,重要な観察課題ともいえそう(初秋までに一定程度まとめられるよう,この夏から集中的に診てみよう).

*1:横浜市HP(行政運営調整局人事組織課)「横浜市退職者の再就職状況の公表について

*2:真渕勝『行政学』(有斐閣,2009年)68頁

行政学

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*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)206頁

ホーンブック 地方自治

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