本務校の自主研究グループ「官僚たちの夏・研究会」(勝手に命名,会員1名)の会員より,先般,原作のドラマ化を教えて頂いて以来,放映を楽しみにしていたドラマを昨晩拝見.
風越信吾役の佐藤浩市さんは,イメージ通り.個人的には,ドラマ化のお話を聞いた時には,原作で「鋭い理論家で,議論でひけをとらない.やや女性的な,かん高い声で攻め立てる」*1との紹介がされる牧順三役は,やはり,堺雅人さんかなあと思いつつも,開いてみると,堺雅人さんは庭野貴久役.「えっ」と驚き.
第一話目は,昭和30年の「国民車構想」から開始.これまた「えっ」と驚かされる.連続ドラマということもあってか,原作のストリーとは異なる展開を含み,同省内における通商と産業を巡る相克が中心に描かれていきそう(第一話からすると,若干,戦後の我が国の各種産業誕生史・同省の産業政策史的な様相).風越信吾が大臣官房秘書課長時代に「おれは人間に興味がある.人間がおもしろくてたまらないんだなあ」(18頁)との台詞が一つの典型のように,「人事と組織」が原作の一つの柱と下名は理解していたものの,余りこちらには力点が置かれないのだろうか,と少し不安.
また,個人的な関心からは,同ドラマ内では「霞ヶ関 通商産業省」とのテロップが出た庁舎(撮影は,2009年5月3日付の本備忘録でも訪問した,神奈川県庁でしたね,「キングの塔」は消されておりましたが,やはり立派な庁舎です)から,新庁舎への移転に伴う看板への,池内信人通産相による揮毫に際して(下名個人的には,原作の前半ではこのシーンが好み),「無言のまま,大股で大臣室を出ていく局長が居た.風越信吾であった」,「〈産業〉より〈通商〉の方が,ひときわ大きいですよ.大臣の気持ちが出ているなあ」(88頁)が持つ,同省の政策方針の象徴性のシーンが無事描かれるかが,見どころ.要経過観察.

*1:城山三郎官僚たちの夏』(新潮社,1980年)13頁

官僚たちの夏 (新潮文庫)

官僚たちの夏 (新潮文庫)