津久見市は、市民が中心になってまちづくりの施策を考える「まちづくり協議会」を本年度から発足させる。国から地方への権限移譲で事務処理が増えた一方、行財政改革に伴い市職員が5年前の327人から71人も減ったため、行政が担ってきた仕事の一部を市民に委託するのが狙い。
 同市によると、事業の柱は(1)市民活動や行財政(2)保健、医療、福祉(3)教育、文化(4)産業振興(5)生活基盤(6)環境保全‐の6つ。各テーマごとに協議会を立ち上げ、10−15人の委員を市民から募集する。市民がアイデアを出し、事務局を務める市職員が企画、予算書などを作成。その後、副市長、市議、市職員らでつくる「まちづくりコンペ」で審査し、各事業の予算案を作り、市議会に提案する。財源は、国や県の助成金を積極的に活用するという。
 第1次産業再生や観光振興に取り組む「行ってみたいまちづくり」協議会は10日から委員を公募中。8月上旬までに市民活動・行財政と生活基盤の分野に取り組む2つの協議会を立ち上げ、その後3つの協議会をつくる。問い合わせは、同市まちづくり推進課=0972(82)4111。

同記事では,津久見市において,同市の住民によるまちづくりに関する協議会を設ける予定であることを紹介.
2009年7月17日に公開された,内閣府によって実施された「地方再生に関する特別世論調査」の結果からは(調査対象:全国20歳以上の者3,000人,有効回収数(率):1,919人(64.0%),調査期間:平成21年6月4日〜6月14日,調査方法:調査員による個別面接聴取)*1,「地域が元気になるための活動に参加したいと思うか」(3頁)という問いに対して,「参加したい」という回答は,前回の2007年調査の結果(70.4%)から73.2%へと微増傾向にある.また,同調査では,「地域が元気になるために国や地方がとる有効な方法」についても尋ねており(8頁),その結果,「国の権限を地方公共団体に移し,地方が自由に活動できるようにする」という回答が,前回調査(22.4%)に比べて,41.9%と20ポイント増加している(ただし,前回調査では,同質問は,「国の権限を地方公共団体に移し,国の関与を最小限にする」との文言であったという).「元気」になるためには,まずは,いわゆる「所掌事務の拡張路線」*2・「事務量の拡大路線」*3への指向性が高いともいえる.同記事では,それでは,具体的に移譲された場合(拡張・拡大された場合),どの様にそれらを行うかという問いに対する取り組み.
金井利之先生による分類に倣えば,「公務住民」*4路線ともいえそう.同市による同協議会の取組については,同市HPを参照*5.同協議会の委員対象は,「市民」及び「津久見市出身」の方であり,これら「以外でも市内の事業所に勤務されている方」,更には,「津久見市を元気にしたいと思っている方でまちづくり協議会において認められた方」と,「公務」への就任要件はやや広め.「募集委員数」は「1協議会」あたり「10〜15人程」とある.同協議会の具体的な審議内容は把握できないものの,同記事では,企画・予算書作成のアイディアを募る取組を開始する予定であるとされているともあり,広義で捉えれば,2008年10月18日付同年12月17日付,そして,2009年5月11日付の各本備忘録において取り上げた,いわゆる「参加型予算」の一種とも整理できそうか.興味深そう.要経過観察.

*1:内閣府HP(特別世論調査(全調査))「「地方再生に関する特別世論調査」の概要」(平成21年7月16日,内閣府政府広報室)

*2:西尾勝「四分五裂する地方分権改革の渦中にあって考える」『分権改革の新展開』(ぎょうせい,2008年)5頁

年報行政研究43 分権改革の新展開

年報行政研究43 分権改革の新展開

*3:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)21頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*4:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)223〜224頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*5:津久見市HP(市民便利情報市報つくみ市報つくみ2009年7月号)「まちづくり協議会」設置の呼びかけ