県総合政策審議会(柴田洋雄会長)が21日、県庁で開かれ、吉村美栄子知事が新たな総合計画の策定を諮問した。県づくりの基本的な考え方や政策展開の方向性を示す約10年間の「長期構想」(仮称)策定に向け、作業がスタートした。審議会は9月に中間報告をまとめ、来年1月に答申する予定。
 県側が策定の基本方針や長期構想の素案を示した。案では、加速度的に進む人口減少や産業経済の急速な悪化、暮らしの不安の増大といった社会情勢の変化に対し、現行計画は「柔軟な施策の修正が困難」と課題を指摘。新計画では、急激な環境変化にも対応できる基盤の形成に重点を置く。さらに、未来を担う次世代、本県にある知恵や技術、人のきずななどを「発展の源泉」と位置付け、「生み・育て・生かす」ことを中心的な考え方に設定。施策展開の視点として▽生活基盤の再構築▽地域産業・経済基盤の再構築▽環境・県土基盤の再構築−を据えた。
 計画は長期構想と、具体的な事業の方向性を示す4年程度の「短期アクションプラン」(仮称)で構成する考え。審議会の作業部会として「政策研究会」を設置するほか、知事と市町村長の懇談の場を設けるなど、市町村の意見を積極的に反映させる。吉村知事はあいさつで「社会は、現計画策定時から大きく変化した。これまでの方向性を推進方法とともに見直し、中長期的な計画づくりに取り組みたい」と述べた。第4次県国土利用計画の策定も諮問した。

同記事では,山形県において,新しい総合計画(「長期構想」(仮称))の策定に向けた審議を開始し始めたことを紹介.
現行の同県の総合計画が「平成17年度(2005年度)から平成27年度(2015年度)に至るおおむね10ヶ年」*1の計画期間が設けられていたものの,「人口減少の加速や景気雇用情勢の悪化で社会情勢が想定から大きく変わった」*2なかで,2009年7月1日付の河北新報による報道によると,現行計画に関して,「方向性を示す政策にとどまらず、具体化する手段が入って」おり「構造的な問題」があることや,「他県にないような形でつくられている.窮屈な思いをしていた」との認識,「山に登る登り方まで書いている.あまりに細かい」*3との見解が,執行部及ぶ議会の一部からも示されたとあり,計画期間の中間年の前年での改定.
同記事を拝読後,同県HPを確認をさせていただいたところ,同県条例に基づき*4同総合計画の審議を行うために設置されている「総合政策審議会」が,同記事にもある「国土利用計画」の策定も想定されているためか,前計画策定期間の一時だけに設置・審議されているのではなく,策定後も常設で定期的な開催されている様子が分かり,驚き.ただし,同記事で紹介されている,同審議会に諮問された「策定の基本方針」,そして「長期構想の素案」については,現在のところ,把握できず.残念.提示されたとされる「長期構想」の「素案」は興味深いところ(早くも「素案」が提示されるものなのですね).
同県に限らず,人口減少という計画策定の前提が「ダウンサイジング」するなかでは,まさに「ダウンサイジング政策を効果的に策定し実施する上」での「行政計画」*5の策定が要諦.下名個人的には,従来の行政計画のように,施策・事業の「新設(initiation)」の時期や「継続(succession)」の方針(又は,達成時期)を明記するに止まらず,個別の施策・事業の「終了(termination)」*6の時期について計画策定期に明記することも,一つの計画のあり方ではないかとも,コッソリと妄想している.ただ,同県の計画が「できるだけ骨太な内容になるよう努力する」*7との方針が採用されるとすれば,やはり「統合(consolidation)」が中心となるのだろうか,考えてみると興味深い.要観察.

*1:山形HP(総務部政策企画課やまがた総合発展計画 )『やまがた総合発展計画』3頁

*2:毎日新聞(2009年6月24日付)「県議会:開会「吉村色」VS県議の誇り 知事の総合計画見直し /山形

*3:河北新報(2009年7月1日付)「現総合計画「詳細過ぎる施策」 山形県側が問題点指摘

*4:山形県HP(総務部政策企画課山形県総合政策審議会平成19年度山形県総合政策審議会(第1回山形県総合政策審議会(平成19年8月28日開催))別紙2)「山形県総合政策審議会条例」(平成13年3月23日 山形県条例第8号)

*5:森田朗自治体における課題解決と政策法務の役割」『ジュリスト』No.1382,2009.7.15,85頁

Jurist(ジュリスト)1382

Jurist(ジュリスト)1382

*6:これらの概念については,次の文献を参照Peters,B. Guy.1988.Comparing Public Bureaucracies: Problems of Theory and Method:Univ of Alabama Press:83-84.

Comparing Public Bureaucracies: Problems of Theory and Method

Comparing Public Bureaucracies: Problems of Theory and Method

*7:河北新報(2009年7月1日付)「現総合計画「詳細過ぎる施策」 山形県側が問題点指摘