県は22日、過去に6人の県職員労働組合(県職労)の組合員が許可なく県総合生活協同組合(総合生協)の役員に就任し報酬を得ていた問題で、役員退任時に得ていた慰労金は最大で約73万円だったと発表した。
 県や県職労によると、6人は役員就任期間に応じて慰労金を受け取っており、最も多かったのは2001年から07年まで理事に就いていた西蒲支部の組合員だった。少なかったのは01年から03年まで理事に就いていた岩船支部組合員で、約23万円。6人の慰労金合計は約305万円だった。
 6人は組合の代表として役員を務めており、慰労金のほかに月4万5000円の報酬を受け取っていた。県は処分を検討しているほか、6人以外にも役員兼務などがないか、全職員を対象に調査を進めている。

同記事では,新潟県において同県職員労働組合の組合員の兼職に伴う報酬の取得状況を紹介.また,2009年7月15日付の同紙にて報道された同内容*1.同記事によると,「総合生協は営利企業ではないので,届け出は必要ないと考えていた」との見解が示されている.
同見解に,少し驚き,「営利企業等の従事制限」を規定する地方公務員法第38条の「趣旨と意味」そして「運用の実際と問題点を解明」されている「逐条」を確認.同「逐条」の理解では,「制限される行為」としては,「営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事院規則で定める地位を兼ねること」*2とあり,より具体的には,「商法に基づいて設立される合名会社,合資会社および株式会社をはじめ,有限会社法に基づく有限会社,その他営利行為を業とする社団も含まれる」とされる.一方で,「農業協同組合水産業協同組合,森林組合消費生活協同組合等は,実質的には営利企業類似の行為も行っているものであるが,それぞれを規制する法律で営利を目的とはしないものとされているため,ここでいう「その他団体」には該当しないものと解されている」(660頁).そのため,確かに,同記事で紹介されている生協についても,「営利企業等」の「従事制限」には該当せず,同団体に「兼職」のうえ「従事」することへの許容は共有されてきた模様.ただ,同「逐条」の次のページには,その「報酬」に関して「営利を目的としないものであっても,禁止される」(661頁)と明記がされている.
そのため,当該団体が営利・非営利を問わず,報酬は,原則認められておらず,上記報道により紹介されている見解は独自な解釈ともいえそう.どのような理解を通じて,同解釈が示されたのだろうか,よく分からない.少し考えてみたい.

*1:新潟日報(2009年7月15日付)「複数の県職員が許可得ず兼業

*2:橋本勇『新版 逐条地方公務員法』(学陽書房,2002年)660頁

新版 逐条地方公務員法

新版 逐条地方公務員法