秋田県の知事部局を2008年度に退職した課長級以上の幹部42人のうち、67%に当たる28人が、県の第三セクターなどに再就職したことが28日、県の調査で分かった。幹部の再就職は知事公室が調整しており、優遇される県幹部の実態が浮き彫りになった。
 調査は6月1日現在。主な再就職先は三セクのほか、(1)県と取引のある民間企業(2)社団法人や財団法人など各種団体―など。自力で就職先を見つけたのはわずか2人にとどまった。
 三セクでは、前建設交通部長の中山敏夫氏が県総合公社の専務理事、前北秋田地域振興局長の藤田了次氏は県農業公社の理事長に就いた。知事公室は、退職幹部の採用を希望する民間企業や各種団体からの要請を取りまとめ、幹部本人の希望を聞いた上で再就職先に紹介している。調査で、官製談合などを防ぐため県が07年に設けたルール(内部規定)が形骸(けいがい)化していることも分かった。
 ルールでは、県と密接な関係のある営利企業への再就職を退職後2年間、自粛するよう求めているが、前山本地域振興局長の佐々木卓郎氏はこれに反し、県と取引がある民間企業の参事に自力で就いた。知事部局全体では、退職者180人のうち59%に当たる107人が県の外郭団体などに再就職した。県は「自力で再就職先を探すことまで規制できないが、ルールが守られなかったのは残念だ」と話している。

同記事では,秋田県において,2008年度に退職された職員の再就職状況が公開されたことを紹介.2009年7月5日付の本備忘録でも取り上げた自治体職員の退職管理の状況.同県の詳細については,同県HPを参照*1
同資料によると,同県では,同記事にも紹介されているように,2008年度には180名が退職されており,そのうち107名(59.4%)が再就職されている.その内訳は,民間企業が6名と限定的であり,各種団体が60名(内訳は,「県の第三セクター」11名,「秋田県以外の公共団体(国含む)」2名,「県非常勤・県再任用」39名)とその大半を占める(再就職をされていない方は73名(40.6%)).また,2007年度は,再就職率が57.3%,2006年度は53.4%,2005年度は56.1%と過去3年間と比べると,再就職の割合は最も高い.特に,再就職者のなかでも「県非常勤・県再任用」の再就職者に占める割合は,2005年度では25.6%,2006年度は27.7%,2007年度は28.8%と微増傾向にあるなか,2008年度については36.4%と前年度からは6ポイントの増加がある.恐らくは,「民間企業」については,毎年度10名以上の再就職がありながらも,本年度は6名に止まったことも反映してか,実数ともに増加傾向にあることが分かる.一方で,「県の出資比率が25%以上の法人」である「県の第三セクター」が毎年ほぼ定数の再就職されていることも分かる.同記事で紹介されている「課長級以上の幹部」とは,同資料によると,「本庁課長級以上で退職した職員42名のうち,調査時点で再就職していない者14名を除く,28名の再就職の状況について本人の同意に基づき公表」(3名)された結果によるとある.
同結果からすれば,同県における管理職者経験者については,「身内」*2とも整理されることもある,各種団体等への再就職の一方で,他の退職者への再就職については,内々である「内部化」傾向がより色濃くなりつつあるともいえ,いずれによせ,自治体との関連性が高い職場で,5〜6割の方が勤務されている実情にある.そのため,同傾向があるとすれば,一つの方策としては,やはり「年金支給開始年齢の引上げに対応して、平成25年度から,3年ごとに1歳ずつ,段階的に65歳まで定年を引き上げることが適当」*3との判断として,自治体レベルにおいて職員の退職年限の柔軟化も一つなのかともも思わなくもないが,どうだろう.
なお,蛇足.同記事によると,同県では,「知事公室は,退職幹部の採用を希望する民間企業や各種団体からの要請を取りまとめ,幹部本人の希望を聞いた上で再就職先に紹介している」とも報道されており,同種の業務を,総務企画部人事課ではなく,知事公室が担当されているようであり,同種の機構の意義を考える上では興味深い一例か.