平成20年の総務省の住宅・土地統計調査結果が公表され、自らが所有する家に住む世帯割合を示す県内の「持ち家率」が15年の前回調査より2ポイント減の77・6%(全国61・2%)となり、全国2位となった。富山県が昭和38年の調査以来、維持してきた「持ち家率日本一」の座を譲ったことになる。
 持ち家率で全国トップとなったのは秋田県で78・4%。富山県の持ち家率が低下した理由について県統計調査課は「核家族化が進み、若い世代が民営借家に住むケースが増えたため」とみている。調査は5年ごとに行われ、今回は昨年10月時点の県内約3万戸を抽出した。全戸調査を行う17年の国勢調査では、富山県の持ち家率は1位だった。1戸当たりの住宅の延べ面積は前回より4・65平方メートル減の147・23平方メートル、1人当たりの居住室の畳数は前回より0・61畳増加の16・48畳で、それぞれ全国1位の広さとなっている。

同記事では,富山県において,「平成20年住宅・土地統計調査」の結果,45年間全国1位であった「持ち家住宅率」が「全国2位」になったことを紹介.同調査結果については,総務省HPを参照*1.
同調査結果からは,同記事で紹介されているように,「秋田県が78.4%と最も高く」「次いで富山県が77.6%」,その後は,「福井県が77.5%」,「山形県が75.6%」の順にあり,「これらの4県で持ち家住宅率が75%を超えており,日本海側の県で高い傾向にある」との傾向性を指摘している.そのため,富山県については,「夫婦共働き」が「全国トップ」,「三世帯同居」が「全国二位」であることが,その「暮らしを特徴づけ」*2ている福井県に0.1ポイントの差しかないことが分かる.また,1998年,2003年,そして,今回の2008年の調査結果の変移を拝見すると,1998年調査では80.6%であった比率が,2003年調査では79.6%,そして今回(77.6%)と,同県では緩やかに「持ち家住宅率」が減少傾向にもある様子を窺うことができる*3
更に,全国的なトレンドとして,1998年調査値からの今回の調査値の減少率(3.0ポイント減),同資料をもとに整理してみると,次のような順位となる.つまり,減少率の第1位は沖縄県(5.0ポイント減),第2位は三重県滋賀県(両県ともに3.4ポイント減),そして,同県は,第4位となる(なお,以下,宮崎県(2.2減),鳥取県(2.1減),鹿児島県(1.9減),熊本県(1.7減),大分県(1.6減),新潟県(1.3減),徳島県(1.1減),山形県(0.8減),岡山県(0.6減),栃木県・佐賀県(両県ともに0.4減),福岡県(0.2減)).全国的なトレンドとしては,同比率が減少した県は,以上16県と(下名個人的には,意外にも)限定的.一方で,上記の持ち家比率における「日本海側の県で高い傾向にある」との見立てには,富山県新潟県山形県は高値ではあるものの減少傾向にあり,更には,九州・沖縄地域を中心に「減少傾向」をもつ地域もあるといえる(ただ,その減少傾向は限定的ですが.一方で,大都市部では,同比率の増加傾向にあることも興味深い結果であるとも思われます).
同県については,上記の通り,同比率のデフォルトが8割以上と元来高値であり,今回調査結果からは,他都道府県の値へと緩やかに平準化しつつあるとも窺えそうではあるものの,その要因はどこにあるのだろうか(特に,同県をはじめ,上記の「日本海側の県」では「共同住宅率(住宅全体に占める共同住宅の割合)」が低値の結果にあり,このことは,換言すれば,老若問わず個々の世帯毎で住宅をお持ちであるともいえ,同記事にいう「核家族化」と持家比率の減少とは関連しているといえるのだろうか).
「人々が持家を求めたのは,暮らしのセキュリティ形成において住宅所有が大きな役割を果たすから」*4とも解されることもある持家.同県の減少要因ともに,その役割が同県では変化しつつあるのかを考えてみると,(出身地であることも大きな要因ではありますが)興味深そうか.