環境省が進める「自主参加型国内排出量取引制度」に北本市が参加することが決まった。環境省によると、同制度には延べ289の企業が参加しているが、自治体では全国初。市は温暖化対策とともに経費削減や職員、市民への啓発効果も期待している。
 同制度は、温室効果ガス削減のため環境省が05年に開始。年間1000トン以上のCO2を排出する事業所などを対象に毎年募集している。加事業者は一定量のCO2削減を約束。目標値より多く削減できれば、その分を「排出枠」として他の参加者に売却でき、目標値以上の排出があれば同枠を他の参加者から買い取らなければならない。同市は2010年度の目標を、06〜08年のCO2の平均排出量の1%削減とした。
 市庁舎や公民館、小中学校など市内32の行政施設の電気使用量などからCO2排出量を算出する。同市は文化センターの蛍光灯をLED(発光ダイオード)などに交換し、窓ガラスに遮熱塗料を使用、業務を効率化するなどで1%の削減は可能としている。【平川昌範】

同記事では,北本市において,2005年度から環境省が取り組む「自主参加型国内排出量取引制度」へ参加することを紹介.2008年2月10日付の本備忘録で取りあげた,bilateralismともいえる新宿区と伊那市との取組や,域内に限定されたmultilateralismとも整理されそうな,2008年2月15日付の本備忘録で取りあげた,京都市での取り組みとは異なり,全国レベルでのmultilateralism的な取引としての自治体としては,初の参加とのこと.
同制度については同省HP*1,同市の取り組みについては同市HP*2をそれぞれ参照.「設備補助を受けることなく,基準年度排出量に比べ,2010年度において少なくとも1%の排出削減を約束する参加者」である「目標保有参加者タイプB」として参加をすることとなり,そのたえめ,同市における「2010年度のCO2排出量」を「2006〜2008年度平均に対して,21t削減することを目標」となる.そして,同目標が達成できない「場合は他の参加者との取引により,不足分を買取ることが求めら」るとともに,更に「不足分を買取れなかった場合には,団体名が公表」されることになる.その場合「これまでの取引市場で売買価格」は,「平均は,およそ1,250円/t-CO2」であるという.
同制度の場合,実効性を確保するために「社名公表」を通じた誘因を配置.ただ,同市に限らず,自治体での参加となる場合,仮に達成できなかった場合,その支出に対して「買取」のための財源措置を如何に確保するかも課題といえそうか.そのため,「買取」のための支出が困難との判断から,自治体名の公表を選択される可能性も高いのだろうか.