益田市は3日、同市の経営企画部長を全国公募すると発表した。市は今春の機構改革で、地域振興を狙いに、同部を新設したが内部の人事調整が難航し、総務部長が兼務していた。同市が部長職を公募するのは初めてという。5日から募集を始める。
 任期は2009年10月1日から12年3月末までで政策企画、情報発信、地域振興などの役職を担う。最大5年間、任期を延長することもある。
 受験資格は、民間企業などで職務経験が8年以上あり、企画分野の従事経験が3年以上ある人、またはプロジェクトリーダーなどの経験がある人。出身者など市との関係は不問。応募用紙は市のホームページからダウンロードできる。
 28日まで募集し書類、論文審査による1次試験を実施。合格者を対象に9月12日に2次面接試験を行い、同15日に採用者を発表する。市は任期付き部長職として7月1日付で元自衛官を危機管理監に任用しており、任期付き部長職は2例目だが公募は初めて。福原慎太郎市長は「内部、外部含めて人材を検討していたが、民間などの斬新な発想や経営感覚を生かしてもらおうと考えた」と公募に踏み切った理由を説明している。

同記事では,益田市において,経営企画部長職への就任者の全国公募を開始し始めたことを紹介.2009年8月4日付の中国新聞及び毎日新聞の報道では,同市市長の記者会見における同職就任者候補者への希望像(「公務職場にはない斬新な発想と経営感覚で、市の再建に力を発揮してほしい」*1,「私が掲げる『益田を日本一の田舎まちに』という理念に賛同し,その実現に尽力してくれる人物を採用したい.斬新な発想と経営感覚を持って,経営危機に直面している益田市の再建に力を発揮してもらいたい」*2)とともに紹介.
同公募の詳細は,同市HPを参照*3.同記事での紹介されている事項以外の事項として,例えば,「給与」は,「一般職の任期付職員の採用等に関する条例第4条に規定する給料表を適用」されることとなり,1級であれば月額376,000円,2級は426,000円,3級は479,000円,4級は545,000円となる.更に,「通勤手当,期末手当が条例に基づいて支給」*4される.これにより,「年収は概ね550万円〜800万円の範囲」となる.また,公募に際して提出が求められている「論文」のテーマは,「益田市を一流の田舎まちにするための提案」であるとのこと(2000字程度).なお,同部は,「市の総合的な政策の企画及び調整並びに市民安全に関すること」と「地域振興.地域自治及び住民自治の推進並びに交通対策に関すること」*5を所掌されており,「政策企画課」「秘書広報室」「地域振興課」「危機管理対策室」から構成される.
また,同公募を紹介する同市HPでは,同職については「市長のブレーンである経営企画部長として手腕を揮っていただきます」とも記載.同職が「市長のブレーン」とすれば,2008年3月5日付の本備忘録でも取りあげた,伊藤正次先生による首長の補佐役(首長ブレーン)の類型*6からすれば,同公募による同職への就任は,その形態としては,「庁内・常勤」型とは位置付けられることは確実ではあるものの,経緯・背景については,「公募」であることもあり,「政治的・個人的関係」というよりも「政策的専門能力」に基づく類型と整理ができそう.ただ,同記事にもあるように「人材の補填」*7という観点からすれば,「交流人事」制度の活路を見出すこともその一つとは想定されてきたものの,公募となると,既に「交流人事」という,いわば「随契」,に依拠する人材補填路線から,「入札」路線への拡張の兆しも窺うこともできる,と捉えれば良いのだろうか.興味深い.

*1:中国新聞(2009年8月4日付)「益田市が経営企画部長を公募

*2:毎日新聞(2009年8月4日付)「益田市:経営企画部長を公募 「日本一の田舎まち」実現を/島根

*3:益田市HP(人事課)「益田市職員(経営企画部長・任期付)募集 (人事課)

*4:益田市HP(人事課:「益田市職員(経営企画部長・任期付)募集 (人事課))「益田市職員(任期付職員)採用選考試験受験案内

*5:益田市HP(益田市例規集)「益田市部設置条例」(昭和48年3月16日益田市条例第2号)第2条

*6:伊藤正次「首長ブレーン」礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)78頁

ホーンブック 地方自治

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*7:稲継裕昭『人事・給与と地方自治』(東洋経済新報社,2000年)105頁

人事・給与と地方自治

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