汚職事件で営業部長が逮捕されたゼネコン「村本建設」(本社・大阪市中央区)の指名停止処分を県が解除したことを巡り、荒井正吾知事は5日の定例会見で、指名停止の解除を土木部長が決める現行の要綱を見直す意向を明らかにした。
 荒井知事は「会社の関与はないと判断できるが、指名停止の解除には公正さや慎重さがより求められる」と述べた。知事や副知事が決裁するなど見直しを検討する。荒井知事は先月23日の会見で「報道で初めて知った」と不快感を示していた。
 また、荒井知事は、先送りが決まった広域行政組織「関西広域連合」について、「広域連合の成果が分からないので、奈良は参加しない。成果が見えた時点で検討したい。中間自治体をもう一つ作るのは無駄に思える」と述べ、改めて参加に慎重な姿勢を示した。【阿部亮介】

同記事では,奈良県において,指名停止の処分に関する要綱を見直す方針であることを紹介.同県の同要綱(奈良県建設工事等請負契約に係る指名停止措置要領)については,同県HPを参照*1
同記事で,「公正さや慎重さがより求められる」との認識が示されている「指名停止の解除」については,同要綱第5条第8項の「土木部長は,指名停止期間中の入札資格参加者が,当該事案について,責めを負わないことが明らかになったと認めるとき(逮捕されたものが嫌疑がないとして不起訴になった場合その他をいう.)は,指名停止を解除するものとする」という規定.また,同記事で紹介されている「「報道で初めて知った」と不快感を示していた」とされる記事は,文面から推測すると,恐らくは,2009年7月23日付の同紙による記事かとも思われる.同記事では,上記記事で紹介されている判断に至る前提となる経緯も紹介.つまり,同県内に位置する天川村が発注した公共工事に対して,同県が2012年1月までの3年間の指名停止処分を行ったものの,「県は同社が提出した書類などから「会社ぐるみの犯行ではない」と判断し,1日付で指名停止を解除した」と紹介されている.あわせて,同記事では,同処分に対する国土交通省地方課による「指名停止は発注者の権限だが,今回のような措置はあまり聞いたことがない.珍しいのではないか」とのコメントも紹介する*2
両記事を拝読し,同県知事の上記発言(恐らく一部と思われますが)からは,今後の同要綱改正方針が判然としない部分もあるようにも思われる.つまり,指名停止処分については,現行の要綱第3条第1項の通り「土木部長」が「行うもの」とするものの,指名停止の解除処分のみは「知事や副知事が決裁する」ことを想定されているか,または,指名停止及びその解除処分の双方を「知事や副知事が決裁する」ことを想定されているのだろうか.いずれかにより庁内における「統合力」*3の確保と,その一方での同種処分における牽制関係の維持・確保との間での課題も想起される.今後,どのような制度改正を想定されるのかは,興味深い.要観察.