山形県内の交番・駐在所全161カ所の警察官が地区の会合やイベントに出向き、振り込め詐欺への注意喚起や相談に応じる“出前交番”が好評だ。昨年9月にスタートし、実際に被害を未然に食い止めるなど効果は上々。県警は近く携帯電話対応の制度も導入し、取り組みを強める方針だ。
 県警によると、戸別訪問が交番・駐在所勤務の基本だが、近年はオートロックのマンションが増えて対面交流が困難になっていることから、出前交番制度を導入した。既に約250カ所、延べ1千回以上訪問。「振り込め詐欺予防、事故防止」を呼び掛ける冊子を配ったり、担当した事件・事故の具体例を挙げながら相談に応じる本業に加え、「とっつきにくい」とされる警官のイメージを一掃して相談しやすい雰囲気をつくるため、自ら尺八や歌を披露する工夫も。
 60代の男性は不審電話を受けた際に「出前交番で教えてもらった手口と同じ」と気付き、振り込め詐欺被害を免れた。化粧品販売や換気扇交換などにまつわる悪徳商法の手口の紹介には、高齢の女性らの評価が高い。ほかにも「木が伸びて交差点の見通しが悪くなった」「空き家が少年のたまり場になっている」など「貴重な情報」を得る場になっている。

同記事では,山形県内の交番・駐在所の警察官による「出前交番」の取組について紹介.同取組については,同県警本部HPを参照*1
2008年9月11日付の山形新聞においても報道された同取組*2同記事では,「公民館との連携事業」として,「出前交番・駐在所では警察官が直接,振り込め詐欺の手口や近隣の不審者情報などを紹介.利用者からの相談などを受け付け」られているとも紹介.「番所」「辻番」が「間接的選考形態」*3ともされる,治安維持装置としての警察(交番)と,社会教育のための「単能施設」*4として配置された公民館という二つの施設(機能)が,公民館において邂逅したことで,同館が決して「一般論ないし常識論にとどまらざるをえない」「カルチャーセンター化」(61頁)には止まらない状況にある模様にあり,興味深い.

*1:山形県HP(警察本部地域課)「市民との架け橋、巡回連絡にご協力を !

*2:山形新聞(2008年9月11日付)「警察官が直接、要望聞きます 県警が「出前交番・駐在所」開設へ

*3:ウォルター・L・エイムズ『日本警察の生態学』(勁草書房,1985年)23頁

日本警察の生態学

日本警察の生態学

*4:松下圭一『社会教育の終焉』(筑摩書房,1986年)39頁

社会教育の終焉

社会教育の終焉