鹿内博青森市長が公約に掲げた「市民なんでも相談室」が10日、市役所に開設された。初日は午後5時以降の相談員として、鹿内市長が窓口に座り、市民の相談に応じた。
 同相談室は、これまで市民の相談窓口だった「『しあわせコンシェルジェ』相談コーナー」の名称を改めたもの。午前8時30分から午後6時までの対応時間が、午前8時から午後8時までに拡充された。午後5時以降は市長、副市長を含めた次長級以上が当番制で対応する。
 初日は、専任の相談員が対応する午後5時までに7件の相談が寄せられた。相談員として窓口に座った鹿内市長は、それまでの引き継ぎ事項の説明を受けた後、早速寄せられた相談に応じていた。鹿内市長は「仕事後も気軽に相談に訪れることができる、市民により近い役所にしたい」と同相談室の意義を説明。「市民の声を直接聞き市政運営に生かしたい」と話した。

同記事では,青森市において,「市民なんでも相談室」を開設されたことを紹介.同室の取組については,同市HPを参照*1
同室では,「市政全般に関することや,日常生活上の困り事,心配ごと」と幅広く対応.「開設時間」は「月〜金曜日の8:00〜20:00」とあり,同記事にあるように,17:00〜20:00の時間帯では,「市長,副市長を含めた次長級以上が当番制で対応」するとあり,まさに「自治体の“顔”」*2が窓口に「相談員」として座ることになる.ただ,同時間帯の「相談は,事前の予約が必要」とされており,「相談内容を相談希望日の12:00までに,電話」「または直接」知らせることが前提となり,いわば事前予約制が採用.8:00〜17:00の時間帯は,2009年7月23日付の同紙の報道にもあるように,「再任用した退職職員3人が相談に応じる従来の体制」*3が継続される.
2008年12月7日付の本備忘録で構成を立てた,本備忘録のお馴染み(断続的)観察課題の一つである「庁舎管理の行政学」からの関心からも(「第4章:執務と憩いの空間としての庁舎」でしょうか),同室の同市庁舎内における配置場所を確認してみると,「本庁舎2階(第一庁舎:北側の建物)」ともある.そこで,同市の庁舎配置図*4を拝見させていただくと,正面玄関から入庁し,右手側の階段を上り,2階フロアーの正面左側の執務室に訪れることができる.
ただし,同種の機能を持つ空間を庁舎内に配置する祭には,必ずしも一般の住民の方々(特に,常連の特定の方々ではない,「初めて」相談に来られるのような住民)は庁舎空間には慣れていないことも想定されるため,「不慣れな環境において目的地を探す行動である」「ウエイファインディング(way finding)」*5に対する負荷を軽減されるように(そして,その「現前性」*6という観点からも),入口からの視野に含まれる空間内で配置することが適当であるようにも考えられなくもないが(例えば,1階正面右側の「しあわせ相談室」とある空間への併置等),相談事項の内容に配慮して,2階に配置されているのだろうか.庁内空間と具体的な室の関係性については考えてみると,やはり興味深い課題.

*1:青森市HP(市民文化部市民生活課)「市民なんでも相談室

*2:西尾勝・大森彌編著『自治行政要論』(第一法規,1986年)134頁

*3:陸奥新報(2009年7月23日付)「市民の悩み相談に市長も自ら対応 公約の相談室を8月開設/青森

*4:青森市HP(市役所案内市役所庁舎案内本庁舎・議会棟)「本庁舎配置図」(特に,PDFファイルを参照)

*5:西出和彦『建築計画の基礎』(数理工学社,2009年)122頁

*6:大森彌『現代日本地方自治』(放送大学出版会,1995年)116頁

現代日本の地方自治

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