総務省は15日までに、地方自治体が運営する観光施設やバスなどの公営企業について、赤字が続いたり、民間と重複し行政が手掛ける必要性がなくなったりしている事業は廃止や民間譲渡、完全民営化を検討するよう自治体に通知した。
 一般会計でなく特別会計で運営されている公営企業なども含め、自治体財政全体の悪化度を判定する自治体財政健全化法が4月に全面施行されたことを受け、財政運営の足かせになりかねない公営企業の抜本処理をあらためて促した。
 通知では、経営が悪化している観光事業について「廃止を含め、抜本的改革に積極的に取り組む」と明記。一部で運転手の給与が民間より高いバス事業は「民間事業者との均衡に一層留意し、適正な給与制度・運用にする」とした。総務省は2009〜13年度に限り、借金の繰り上げ返済など公営企業の廃止に必要な費用にも充てられる地方債「第三セクター等改革推進債」の発行を自治体に認めた。

同記事では,総務省において,各自治体が運営する公営企業のうち,その経営が「赤字」が継続する場合,又は「民間と重複」している場合には,民間譲渡又は完全民営化を検討するよう,各自治体に対して通知を示したことを紹介.同通知では公営企業の「抜本的改革」を促しているとのこと.同通知については,同省HPを参照*1
他律的な「促し」を通じた「政策終了」*2論の一つ.終了にあたっては,一足飛びには「全面的終了」には至らず,「段階的終了」(452頁)が図られるとしても,終了対象とすることに合意が得られるかは課題か.公営企業の創設時以来の「レガシー(遺産)問題」*3を論拠に,「赤字」であるから廃止,「重複」であるため譲渡という,やや直線的な判断へと至ることへの困難も想定される.そのため,結果的には,「部分的終了」(453頁)という選択肢が採用されることもなるのだろうか.各自治体の動向は,要経過観察.

*1:総務省HP(政策地方行財政地方公営企業等公営企業の経営に当たっての留意事項について)「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(総財公第103号 総財企第75号 総財経第96号 平成21年7月8日)

*2:真渕勝『行政学』(有斐閣,2009年)452頁

行政学

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*3:張世進『ソニー VS.サムスン』(日本経済新聞社,2009年)29頁

ソニー VS.サムスン

ソニー VS.サムスン