福岡市は、市の将来像と実現に向けた方針を示す指針「市都市計画マスタープラン」改定案について、市民から意見を募る。改定案は、現在基本的な考え方をまとめた段階で、「機能集約」「九州・アジアの交流拠点」「活力ある都心」「地球に優しい」「災害に強い」「快適で住みやすい」との6つの柱で構成。全体目標として、「コンパクトで持続可能な環境共生都市」を掲げる。
 市は2001年、10年を目標としたマスタープランを初めて策定。10年度中を予定する今回の改定は、人口のピークを迎えると予想される25年ごろを新たに目標とし、「人口減少時代を見すえ、いまの良さを次世代に引き継ぐことを目指す」(都市計画課)という。
 基本的な考え方では、人工島(アイランドシティ)や九大伊都キャンパスなど、多極化した拠点に都市機能を集約。市営地下鉄七隈線の延伸、箱崎線西鉄貝塚線との直通運転化などを検討し、公共交通ネットワークを強める。JR博多駅福岡空港博多港国際ターミナルは、九州・アジアの玄関口としてふさわしい景観づくりと緑化を推進。海に開かれた、魅力ある都心づくりを行う。
 住居地域における建物の高さ制限は、最高20メートルを上限とする「絶対高さ型高度地区」を拡大することなどで強化。人口の減少傾向にある郊外の一戸建て住宅地では、2世帯住宅などが建てやすいよう容積率と建ぺい率の緩和を模索する。また、大地震などに伴う火災に備え、建物に耐火構造を義務付ける防火地域・準防火地域を広げる。
 意見募集期間は20日−9月30日。現段階の案は区役所などで入手できるほか、市のホームページでも閲覧可能。都市計画課=092(711)4388。

同記事では,福岡市において,現在策定を進めている都市マスタープランの改定案について,市民からの意見募集を開始することを紹介.同募集内容については,同市HPを参照*1
同マスタープラン改定案は,同市資料を拝読すると,2003年3月に策定された「総合計画」である「福岡新・基本計画」*2を「上位計画」*3と位置付けられている.そのため,例えば,「福岡新・基本計画」内で「政策目標7」として提示された「「楽・住・職」の融合した美しい都市となる」との目標の下で提示された「多核連携型都市構造」*4等が,同マスタープラン改定案のなかにおいても「機能集約型の都市づくり」*5として,(「福岡新・基本計画」とはその名称が若干異なるようではありますが)参照されている.また,同マスタープラン改定案の計画期間としては,「短期的なものなどについては「福岡市 新・基本計画」と同じく平成27年を目安とする」と一部の内容については,総合計画における目標年限との一致されるものの,「都市計画マスタープランの将来像を実現するまでには一定の期間を有するため,全体としては,本計画改定後,概ね10〜15年後を目標年次」(6頁)とあるため,総合計画と都市計画マスタープランが概ね5年毎に交互に改定作業が行われる仕組みが想定されているともいえる.
自治体内で中央集権的総合計画に多くを期待すると人間のもつ認識力の限界を越え,総合計画の失敗を招くリスクが高まる」との研究蓄積から,「総合計画は,自治体の戦略性,指針性を規律するにとどめるといった程度の「枠組み計画」として位置付けられるべき」*6ともされる.つまり,計画内容の「詳細度」は政策分野別計画の特性として「尊重」(161頁)した「計画間調整」(160頁)の方策が想定される.なるほど.同認識における,計画間の関係性の前提としては,恐らく限りなく緩やかなものではあるとしても,総合計画が「目的」とすれば「政策分野別計画」が「手段」とも位置付けあることになり,同市資料にもあるように,総合計画は「上位計画」という標記は,計画体系においては,あくまで「総合計画」が「目的」であり,都市マスタープラン改定案がその一「手法」であるとの認識の下で整理がなされているからとも考えられる.ただし,「目的は,最初に完全に明示できるものではないこと,また,目的と手段の関係が相互的であること」*7からも,「時間」がもつ効用は高い.そのため,緩やかではあるもの目的と手段関係にある,総合計画と都市マスタープランをはじめとする基本計画との策定時期において,若干の相異とともに重畳された計画期間(時間)の調和が想定されている場合は,計画間調整においては有効とも考えられる.ただ,その「時間」がそれぞれの計画独自に流れ始めると,異なる時間間での調和を前提とした計画間調整の効用も失いかねない.複数の計画間調整におけるポイントは,その時間管理にもありそうではあるが,どうだろう.

*1:福岡市HP(市政情報広報・報道報道発表資料平成21年度 記者発表資料8月)「『福岡市都市計画マスタープラン』改定の基本的な考え方(案)について市民意見を募集します!!

*2:福岡市HP(市政情報市政の運営,方針・プラン計画・指針)「福岡市新・基本計画

*3:福岡市HP(市政情報広報・報道報道発表資料平成21年度 記者発表資料8月『福岡市都市計画マスタープラン』改定の基本的な考え方(案)について市民意見を募集します!!)「『福岡市都市計画マスタープラン』改定の基本的な考え方(案)《概要版》(表紙〜p6) 」(平成21年8月,住宅都市局 都市計画部 都市計画課)1頁

*4:福岡市HP(市政情報市政の運営,方針・プラン計画・指針)「福岡市新・基本計画)『福岡市新・基本計画(全市編)』「2編【計画各論】:政策目標7「楽・住・職」の融合した美しい都市となる」

*5:福岡市HP(市政情報広報・報道報道発表資料平成21年度 記者発表資料8月『福岡市都市計画マスタープラン』改定の基本的な考え方(案)について市民意見を募集します!!)「『福岡市都市計画マスタープラン』改定の基本的な考え方(案)《概要版》(p7〜p11) 」(平成21年8月,住宅都市局 都市計画部 都市計画課)8頁

*6:大橋洋一『都市空間制御の法理論』(有斐閣,2008年)152頁

都市空間制御の法理論

都市空間制御の法理論

*7:加藤淳子『税制改革と官僚制』(東京大学出版会,1997年)25頁

税制改革と官僚制

税制改革と官僚制