川崎市選挙管理委員会委員などの行政委員への月額報酬は違反として、民間組織「かわさき市民オンブズマン」(篠原義仁代表幹事)が市長に対し、勤務日数に応じた報酬支給を勧告するよう求めた住民監査請求について、市監査委員は21日、「報酬は職務の内容や責任の度合いによって決められるべきで月額報酬は適当」などとして請求を棄却した。
 監査請求の対象は、市選管と区選管の委員長と委員、市市民オンブズマン、人権オンブズパーソン。市監査委員は「非常勤職員の報酬は、単に勤務日数などの勤務実態が常勤職員と同等かどうかで判断するものではない」と説明。職務の性質や責任の重さなどによって判断されるべきだとの考えを示した。
 棄却を受けて、同オンブズマンの篠原代表幹事は「結果は非常に不満。今後は裁判で徹底的に戦いたい」と話した。同オンブズマンは「月額での支払いを定めた条例は、勤務日数に応じて支給するとしている地方自治法に違反している。日給に換算すると相当な金額に上る。勤務量に応じて支払うべきだ」と6月下旬に住民監査請求を行っていた。

同記事では,川崎市において,行政委員会委員報酬に対する住民監査請求に対する結果を公表したことを紹介.
2009年1月23日付の本備忘録において取り上げた,行政委員会の委員への月額報酬の違憲判決.同判決後,例えば,同年2月12日付及び同年2月28日付の本備忘録のように,各単体の自治体において,月額報酬の「見直し」方針が偶発的に示されている様相や*1全国知事会において,2009年7月23日に確定された,同会による地方消費税の拡充要請に関する提言のなかにおいても,地方消費税の引き上げに対する「住民の理解を得るため」にも,都道府県の「行革」の一環として「非常勤にもかかわらず月額報酬を得ている教育や選挙管理などの行政委員の報酬」の「見直し」を提案された,と2009年7月23日付の愛媛新聞において報道*2もあり,行政委員会委員の月額報酬制の「見直し」の傾向性が窺えそうな現況にもある.方や同状況があるなかでの同市監査委員による意見提示.同市監査委員による監査請求結果の通知文は,同市HPを参照*3
同通知文を拝読すると,同見解に至る論拠としては,次の通り.つまり,地方自治「法第203条の2第2項ただし書の趣旨」として,「昭和31年の自治庁次長通知」が示されており,同通知のなかでは,「非常勤職員の勤務の態様は多岐にわたっているので,特別の事情があるものについては,原則の例外を定めることができるものであること」と説明」(18頁)があるとされている.そして,同委員では,確かに「この通知では,具体的に,どのような場合や状況が「特別な事情があるか」に該当するのか.明確にされていない」との留保を示しつつも,「昭和31年の行政実例では,各自治体の長が「その者の職務内容及び勤務態様等を考慮して具体的実情に応じ自主的に判断すべきもの」とされ,長の合理的裁量に委ねられている」(同頁)と見解が示される.重ねて,大津地裁判決において「非常勤の行政委員に月額報酬を支給できるのは,「勤務実態が常勤の職員と異ならないといえる場合に限られる」と,限定的な判示」(同頁)がなされた一方で,大阪地裁判決においては「その報酬をその勤務日数に応じて支給するものとせず,その職務及び責任に対する対価として,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給するものとすることは,不合理ということはできない」と判示」(同頁)されたことをあげて,「職務及び責任に対する対価を考慮して月額報酬を支給することを是認している」(同頁)と述べる.そして,同市においては,同市の「行政委員等の非常勤職員の報酬に関する考え方」(同頁)が,「単に勤務日数等の勤務実態が常勤職員と同等かどうかで判断するものではなく,職務の性質や内容及び責任の度合いによって決められるべきとしているものである」(同頁)として,「上記の昭和31年の行政実例」及び「大阪地裁判決の趣旨にも沿っている」(19頁)として,結果としては「報酬条例を制定した上で,本件委員等に対して,職務の内容及び責任の対価として報酬を月額で支給していることは,明らかに不合理ということはできず」,「本件委員等に係る報酬条例の規定は,法第203条の2第2項の規定に違反しているとはいえない」との見解に至る.
同通知文内において,「本市以外の政令指定都市における市及び区の選挙管理委員(委員長を含む)の報酬は,平成21年4月1日現在で,すべて月額報酬」(14頁)と整理されている現況からすれば,日当制へと移行に伴う「不確実性を低減するため」ためにも「相互参照」*4の態様は持続されそうか.要経過観察.

*1:例えば,次のような報道も参照.琉球新報(2009年6月1日)「行政委員報酬10市町村、日額制へ 見直しの動き広がる」,静岡新聞(2009年7月29日付)「行政委員報酬見直し 県議会答弁で知事が改革方針」

*2:愛媛新聞(2009年7月23日付)「知事会が地方消費税引き上げ提言/「行革進める」と原案修正」.ただ,同提言.2009年7月14.15日開催の全国知事会議への提出資料分については,同会HPへ掲載されており確認ができるものの(次の通り.全国知事会HP(全国知事会の活動全国知事会議・委員会・会議全国知事会議の開催について)『資料6−1住民サービス確保のための地方消費税引き上げに向けた提言』),当該修正版(確定版?)については,下名把握することができず,残念

*3:川崎市HP(報道発表資料非常勤行政委員等の月額報酬に関する住民監査請求結果)「公表文

*4:伊藤修一郎『自治体発の政策革新』(木鐸社,2006年)30頁

自治体発の政策革新―景観条例から景観法へ

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