兵庫県は、県が実施する各種の統計調査を有効活用するための付属機関「統計委員会」を設置し、このほど初会合を開いた。学識経験者らで構成し、より精度を高める手法や、利用しやすい公開の仕方などを検討していく。
 県は県民意識、観光客動態など、30近い統計調査を実施している。本年度、統計の幅広い活用を目的とした統計調査条例を施行したのに合わせ、具体策を話し合うための委員会設置を決めた。委員は学者やシンクタンク関係者ら5人で構成。具体的には、より精度を高める必要がある「県基幹統計調査」を指定するほか、情報開示の審議、統計の効率的な実施や集計結果の利用のしかたを検討する。
 初会合では、委員から「ボランティアや地域ビジネスなど、実態が見えにくい分野の統計データがほしい」「実感が持てるような見せ方の工夫が必要」「教育現場に提供を」などの意見が出された。年2回程度開催し、今後の統計調査に反映させる。(佐伯竜一)

同記事では,兵庫県において設置された「統計委員会」を開催されたことを紹介.同委員会については,同県HPを参照*1
同委員会は,同県の付属機関条例第1条に基づき設置.同県の「統計調査条例」による「県統計調査の実施及び結果の利用に関する重要事項の調査審議に関する事務」*2を担当.2009年4月1日から施行された,同県統計調査条例第3条によると,「知事等」が「県基幹統計調査」を「指定」する場合に同委員会「の意見を聴かなければならない」*3とされている.基幹統計の指定の調査審議等を所掌し,「司令塔機能の中核」*4を担うともされる,内閣府に置かれる統計委員会と同様に,同委員会,兵庫県における統計行政上の「司令塔機能」の一つといえそう.一方で,新たな統計需要に対する指定のみならず,あわせて,現行統計調査の「総量規制」*5を同委員会において審議されるのかもまた,要経過観察.
内閣府の統計委員会による答申では,「基幹統計を作成する際の地方公共団体における事務は,法定受託事務として規定されるなど,基幹統計の作成において,地方公共団体は重要な役割を担っているとともに,基幹統計の結果は,地方公共団体の行政運営にとっても重要である」*6との認識とともに,「基幹統計の整備に当たっては,国の責任で作成することを前提に,国と地方公共団体相互の協力及び適切な役割分担の下に,協働して取り組むことが必要不可欠である」(28頁)との見解が示されている.このような国から「協力」「適切な役割分担」「協働」への提案に対して,その諾否等に対して,同県のような委員会において,現行の審議対象である同県における「基幹統計」の指定とともに,審議が行われると,さらに興味深そう.

*1:兵庫県HP(県政情報・統計統計お知らせ・総合データ)「県政情報・統計統計委員会

*2:兵庫県HP(行財政・法規条例・規則兵庫県の条例・規則について兵庫県法規データベース「附属機関設置条例」(昭和36年4月15日条例第20号)

*3:兵庫県HP「統計調査条例」(兵庫県条例第49号)

*4:広田茂「「司令塔」の中核としての統計委員会の役割」『ジュリスト』No.1381 ,2009.7.1号,50頁

Jurist(ジュリスト)1381

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*5:原田久『NPM時代の組織と人事』(信山社,2005年)77頁

NPM時代の組織と人事

NPM時代の組織と人事

*6:内閣府HP(審議会・研究会等統計委員会)『「公的統計の整備に関する基本的な計画」に関する答申』(平成20年12月),28頁