益田市は25日、全国公募していた経営企画部長について、合格した40代男性が急きょ、家庭の事情で辞退したため、今回は採用を見送ると発表した。経営企画部長は今春の機構改革の目玉として新設されたが、柳井孝雄・総務部長の兼任が続いていた。採用見送りにより、当面は兼任が続く。福原慎太郎市長は「できるだけ早く採用したい」と話した。8月に募集し、海外を含め、24人が応募。書類審査と面接により、今月15日に合格者を決め、通知していた。【上村里花】

同記事では,益田市における企画経営部長の公募結果について,紹介.2009年8月6日付及び同年同月22日付の本備忘録で紹介した同市による同取組のその後.2009年9月11日付の本備忘録で制度的な観点からの類型化を図ってみた,各種職に対する庁内外部からの登用制度の形態からすれば,「常勤・非同意職・総括系・任期付」型が持つ制度的な課題も一つ要因なのだろうか.
同市では,「平成21年8月5日(水)〜平成21年8月28日(金)」の募集を行い,「書類審査及び論文審査で合否決定」に関する1次試験(合格発表:平成21年9月4日(金))の実施後,「平成21年9月12日(土)」に面接試験方式による「2次試験」(合格発表:平成21年9月15日(火))を経て,「平成21年10月1日(木)」からの「採用」*1を当初予定されおり,合格者が確定されていたものの,同職採用者からは「家庭の事情」により「辞退」の意思が示されたとのこと.同記事からは,今回募集者のなかから選考されるのではなく,再度公募されるようでもあり,興味深い.
ただ.同市では採用後「平成21年10月1日から平成24年3月31日まで」という期間があるように,一般的にも,「任期付」制度の場合,公募者が退路を断ち「片道切符」による応募申込となれば,5年後の行き先に関するリスクは高まり,同制度が機能する上での本質的に有する隘路ともなる.
一方で,2009年9月25日付の毎日新聞による報道では,町田市において「条例の制定や訴訟への対応など法律関係の業務を強化するため、法律の専門知識を持つ民間人を法務担当の課長級職員として採用を決めた」*2と「常勤・非同意職・専門系・任期付」型の募集を行う方針が紹介.同記事では,同職の要件として,「司法修習修了」「訴訟に関する実務経験3年以上」「11年3月末現在で59歳未満」の要件を満たす者に対して,「任期は10年4月から2年間で,実績により最長5年間まで延長が可能」とされている.「専門系」の場合は,任期終了後が「片道切符」に止まらない蓋然性も高いため,採用・辞職の流動性も高いことが考えられる.
採用時に「任期付」であるいずれの場合においても,同職の採用・継続後における「貢献(contributions)」に対する「誘因(inducements)」*3に依拠することも想定され,その方が各自治体にとって優秀な人材であるとなれば,「優秀な人材の維持・引止め」を行うための「リテンション・マネジメント」*4もまた必要なのだろうか.

*1:益田市HP(所属でさがす秘書広報室平成21年8月報道発表資料)「8月3日発表「経営企画部長の採用募集について」(人事課) 」

*2:毎日新聞(2009年9月25日付)「町田市:法務担当、民間人から募集/東京

*3:Herbert A. Simon,Victor A. Thompson,and Donald W.Smithburg.(2000)Public Administration second edition,Transaction Pub:382(あれ,手持ちの同書と表紙の色が異なる?)

Public Administration

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*4:安藤史江『コア・テキスト 人的資源管理』(新世社,2008年)206頁

コア・テキスト 人的資源管理 (ライブラリ経営学コア・テキスト)

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